『いもうとのために』

<1>-<2>-<3>
本SS(短編小説)は、2011年から2015年ごろまでwisper様に掲載されていた作品です。

<2>

唇が離れる。

俺の下になったメグミが、切なそうに瞳をのぞいてきた。

「おっぱいばっかり揉んで。お兄ちゃん、おっぱい星人だね。」

「だって、こんなにおっきいのにふわふわしてるからさ。服の上から形わかっちゃうよね。」

「ねーぇ♪おにいさま?このおっぱいに甘えてみませんか?」

俺は固唾を飲んだ。

雑誌の表紙を飾りそうな美少女の、こんな豊かな乳房を堪能できるなんて。

「お願い!やってみたい。」

「ふふっ。堪らないよね〜♪このおっぱい♪」

俺はメグミの乳房を鷲掴みにしてしまい、好き放題揉む。

クリーム色のベストの肌触りと、乳房の柔らかさが止まらないほど気持ちいい。

「いいでしょ。おっぱい。好きなだけ揉んでいいんだよ。」

揉み、さすり、手の平で感触を楽しむ。

それだけでは足りず、メグミの口元を奪って、また舌を絡ませあう。

俺が上、メグミが下。

メグミも気持ちいいらしく、ベッドの上で体をよじったり俺の体に絡んだりしている。

主導権は俺にあった。

好きなだけ、好き放題メグミの体を犯すことができる。

しかし。

激しく舌を絡め合ってさえ、息を切らせているのは俺のほうだ。

気づいて、キスを止める。

やはり余裕の表情のメグミ。

彼女は両手を俺の肩にまわして、うなじから背中にかけて愛撫する。

「どう?私の味。最高でしょ?こんなにお兄さんにぴったりの相手はいないよ?」

俺に抱きついて、耳を舐めてきた。

「ねぇーえ、お兄ちゃん。毎日中出しさせてあげるから、付き合ってる子と別れてよ。」

「!!」

「私がいれば、他の子なんかいらないでしょ?」

『毎日』と『中出し』という言葉が、烈火のように俺の理性を焦がしてしまう。

「私のまん○、病みつきになるくらいすっごい気持ちいいから。最高の射精させてあげる。だから、他の子と別れて。」

他の子?

なんでそんなことを知っているんだ?

俺の全身を雁字搦めにしていた誘惑と快楽の網は、メグミ自身の言葉で破れた。

俺はそっと、メグミから体を話した。

メグミの顔には驚きと動揺の色が浮かぶが、それはすぐに怒りに変わる。

「・・・私より、今付き合ってる子のほうがいいんだ?」

「違う、そうじゃない。君のほうがいいよ。」

「んふふっ・・・」

少し表情が和らぐ。

彼女は体をひいて、上半身を起こし俺と向き合った。

確かに、美しい。

俺は指先で彼女の肩にかかる栗色の髪に触った。

本当に美しい。

「ほんとに俺の恋人になってくれると、嬉しいけど。」

ぱっと表情が明るくなって、満面に笑みが咲いた。

「ごめんねお兄ちゃん、私、今ちょっと勘違いしちゃった。」

「どんな勘違い?」

「私より、今のカノジョのほうがいいんだって思っちゃった。」

「敵わないよ、全然。」

「もう一回、言って。」

「こんなにキレイな君に、敵わないよ。」

「だよね!ふふふっ♪」

嘘じゃなかった。

本当に。

俺は初めてみた。こんなにも美しく、強い色香の持ち主は。

見ればみるほど、心も魂も持って行かれそうなのだ。

「でもどうして、俺が付き合ってるってわかったの?」

「勘かなぁ。お兄さんってカノジョいるなーって。見てわかったの。」

「そっか。大学入ってからの付き合いだから、たかが知れてるけどさ。」

「そんなことない。相手はきっと、強く想ってるよ。」

「・・・」

本当に勘だけで言っているのか。

入学したころから付き合っている女がひとりいる。

同期で法学部のサトミ。

まあ、俺には不似合いそうな才色兼美のお嬢様だ。

そのお嬢様はなぜか、俺に対してとても積極的だった。

本人は『運命』という言葉を使うけど。

俺にはよくわからない。

ともあれ、サトミが待望しているのは俺達の『将来』だった。

どうやってそれを、会ったばかりのメグミが知り得たのだろうか。

「メグミも他の人と付き合っちゃダメだ。俺の妹なんだから。」

「もちろん!今日からお兄さんだけのものになる。約束するよ。だからお兄さんも約束してほしいな。」

危うく承諾してしまいそうになる。

メグミを毎日抱けるなら、俺はサトミと別れるだろう。

しかし、漠然とした疑念が胸に残る。

メグミの言葉の裏に潜む得体の知れない何かが、俺を踏みとどまらせた。

「うーん、もうちょっとメグミちゃんを味わってからにしようかな?こんなに可愛いけど、付き合ってみたら実は小悪魔でした!なんて目に遭うのはゴメンだし。」

メグミの表情は明らかに険しくなった。

「今の世の中、小悪魔どころか大悪魔だっているからさ。」

不機嫌そうに目をそらすメグミの頬を手のひらで触る。

「もし私が悪魔だって、この体には手が出ると思うけどね。それとも、悪魔だったらイヤ?」

眉毛を釣り上げて、俺を見据える。

「こんなふうに言われると思わなかったわ。」

「あっ!ごめん、ごめんよっ!」

慌てて口づけしようとする俺をかわすメグミ。

「さすがに一筋縄ではいかない。お兄さんって人、よくわかったわ。」

ベッドを降りて立つと、彼女は服の皺を直す。

「お、おい、ちょっとぉ。さっきの続き・・・」

後ろからメグミに抱きついて、乳房をつかむ。

と、同時にスベスベとした少女の右頬を舐め回した。

「うふふふっ・・・やっぱり欲しいんだ、私の体。抱けば抱くほど離れられなくなるよ。」

「うん・・・」

「お兄ちゃんに本当のこと言われたから、カチンときたよ。」

「なんだよ、さっきの小悪魔のこと?冗談だよぉ。小悪魔でもいいって。大歓迎さ。」

乳房を揉む手を激しく動かすと、ベストごしとはいえ、メグミも堪らず甘い声を漏らす。

「んんんんっ。今日ひとりで寝られなくなっちゃうね、お互いに。」

メグミは俺のほうを見て舌を伸ばしてきた。

すぐに俺の舌を差し出して、彼女の気持ちに答えてやる。

この娘の色香は堪らない。

キスをしても抱いても、もっと欲しくなる。

セックスをしたら止まらなくなりそうだ。 二三日ずっと離れられなくなりそうなくらい、強い魅力がある。

キスしながらメグミを部屋の壁まで追い詰めて、逃げられなくする。

好きなだけおっぱい、好きなだけキス。

好きなだけ、好きなだけ、好きなだけ!

俺はメグミを求める。

もう俺のものだ。逃がさない。

後ろで物音がした。

メグミの動きがぴたりと止まる。

「あら、まあ、ずいぶんなかよしなのねえ。」

俺は背中でその声を聞いた。

我に返って振り返る。

鳥肌がたつほど、ドキリとした。

部屋のドアをあけているのは絵美歌さん。

その背後に親父が立っていた。

絵美歌さんはにこにこして、まるで小さな子供が遊ぶ様子を観ているかのようだ。

親父はぼんやりと、いつになく無表情でつったっている。

魂が抜けたように。

「お母さん。どう?今ね、お兄さんと契りを結ぼうとしてたところなの。」

「あら。邪魔しちゃったわね。うふふふ・・・」

そんな馬鹿な。

異常だ。

この二人の反応。

いや、しかし・・・

妹の体をこうしてひたすらに求めている俺も、また異常なのではないか。

幽霊のように立っている親父といい。

俺の理性が警鐘を鳴らす。

だが、そのやかましい音はすぐに止まってしまった。

メグミに向き直ると、彼女は楽しそうに笑っている。

一瞬目を細めると、麻薬のような愛撫で俺の理性を削ってくる。

さらに、舌を激しく出し入れするディープキスの責めが続く。

美少女のブラウンの瞳は、俺に、彼女だけを求めるように命じていた。

逆らうこどなどできない。

俺はメグミの奴隷でいい。

後ろでドアの閉まる音がした。

絵美歌さんと親父が階段を降りていく。

また、この部屋は、俺とメグミだけの世界になった。


<次に進む>

<1>-<2>-<3>

ソンム製作所のホームページはこちら