『淫魔猟兵対美少女戦士』
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本SS(短編小説)は、2005年から2015年ごろまでWisper様に掲載されていた作品です。
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暗い会議室。
液晶プロジェクターで壁いっぱいに映し出された映像。
そこには、次々と制服の娘を血祭りにあげる淫魔猟兵の姿があった。
『ソニック・スピード!』
金色の髪をなびかせ、淫魔の少女は映像から消えた。
と、一列に並んでいた制服の娘たちは、透明な刃物に切り裂かれたように、突然腕や首が胴と離れる。
「いかがです。これは、淫魔猟兵システムの能力の一部でしかありません。」
重苦しい沈黙を破ったのはカーナだった。
記録映像は、死体のそばに現れた淫魔猟兵の姿を捉え静止した。
淫魔の女王はため息をついた。
壁から映像が消え、会議室の照明が灯る。
その中ほどに男が一人、女が五人座っていた。
「暴走すれば手に負えんぞ。カーナ、とんでもないものを作ってくれたな。」
メルはカーナに食いかかった。
「ま、野心的プロジェクトですから。多少のリスクは仕方ありません。」
カーナは、けろっとした様子で答える。
「貴様、制御不能になったらどうするのだ!?」
「一応安全装置はあります。」
「土壇場でも役に立つんだろうな。」
メルは詰問した。
「正確には安全装置ではありません。安全装置として働く人物です。ミーナ様のパートナーです。彼を人質にとれば、ミーナ様はこちらの言葉を聞くはずです。」
カーナの冷酷な返事に、その場は静まり返る。
「万が一でも、女神騎士の魂が目覚めると厄介だな・・」
ミーナの父親は呟いた。
「大きな衝撃があれば目覚めるかもしれないわ。」
ミルバが答えた。
「野心的なプロジェクトには、リスクはつきものです。ミルバ様。ヒデマロ様。」
カーナはさらりと言った。
「ああ、哀れなミーナ。そう思わないか。」
メルはカーナを見ながら言う。
「仕方ないことなの。あの子しかいないのよ。」
ミルバは、どこか悲しい目をしてメルに答えた。
会議室の空気は再び、重くなった。
「このあたしが、人間ごときに・・」
ミーナは怒りに身を震わせ、こぶしを握った。
「そのおごり高ぶる心が、命とりになったのだ。残念だったな。」
「絶対に認めない!こんな結末は!」
「んなこといったって、しょうがないじゃん。数学とか物理ってのは、積み重ねが大事なんだよ。暗記じゃのりきれないっつうの。」
「あーん!なんであたしが、こんな悲惨な点数なのよぉ〜」
試験が終わり、僕らの手元に答案用紙が戻ってきた。
ミーナの結果は惨憺たるものだった。
英語と理系科目は、軒並み赤点。
その他の文系科目は、平均点近辺。
そりゃそうだ。
突然高校生になったって、勉強できるわけない。
「くぁーー、もうこんな学校、淫魔の巣にしてあげるわ!!」
「待て!はやまるな!」
「あーっはっはっは!今日から私はサキュバス帝国の女王さまよ!!」
「ひぃっ!?」
「ほーっほっほっほっ!!!」
金曜日の放課後、僕らは校舎の屋上にいた。
今日も雲ひとつない青空。
「げ、現実を直視しようぜ!?」
彼女と出会ってから、3週間が過ぎようとしていた。
僕らの間には、言葉で表現できない何かが、確かに育っていた。
「ふがーーっ!くやし〜っ!!なんであたしが、ペットより点数低いのよっ!」
誰がペットじゃ。
「人間を甘くみるでない。」
「なによ!肉人形の分際で!」
「おいおい、いい加減にしなさい。そんなにムシャクシャするなら、いいところ教えてやるよ。僕についておいでよ。」
「エッチなことなら、結構よ。」
「そんなの分かってるさ。鬱憤を晴らせるところだよ。よし!いくぞ!」
虹峰綾乃は、部屋に戻る気がしなかった。
自分でも、今の自分がおかしいのは分かっている。
もっとストレス解消が必要なのだ。
この一週間、ろくなことがなかった。
ジャスティスナイトが遭遇した”何か”。
その正体を知ろうとしても、手がかりがなかった。
八方ふさがりだった。
綾乃の憂鬱はそれだけではなかった。
今日の昼休み。
同級生の古村辰彦と、近衛麻衣子のキスシーンにばったり遭遇したのだ。
嫌らしい手つきで麻衣子の体を愛撫する辰彦。
まるで淫魔のように、自らの肉体を辰彦に擦り付ける麻衣子。
辰彦はフェンシング部の主将で、勉強もできて、女子には人気が高かった。
一方麻衣子は、怪しい店に出入りしていたことが発覚し、先月やっと休学処分が解除になったばかりだった。
『あんな・・あんな相手と、どうして!』
綾乃が操縦桿の引き金を引く。
綾乃のビームライフルから、ビームが発射される。
プレイヤー名『きっころ』の乗る緑色の量産型ロボットに、ビームが直撃した。
目の前のモニターが映し出す、真っ暗な宇宙空間。
『きっころ』のロボットは爆発して、破片がばらばらと飛ぶ。
このゲームセンターで今一番人気の『連合対ジオソード』。
綾乃が乗るのは、連合軍の最強ロボットだった。
通称『連合の白い悪魔』。
このゲーム機は4つの筐体があり、それぞれに人が乗り込むようになっている。
戦闘の形式は、2対2のチームバトルだ。
綾乃の味方はCPUが担当している。
敵の『きっころ』が倒れたことで、動きののろい旧式量産型ロボットを駆る『もりぞー』だけになった。
「そこぉっ!!」
綾乃はすばやく接近すると、こちらの動きに追従できない『もりぞー』にビームを叩き込んだ。
一撃で破壊される『もりぞー』。
戦闘は終わった。
戦闘の統計結果が表示される。
綾乃の回避率98%、命中率99%だ。
「フッ。」
気持ちがすっとした。
綾乃が、いい加減やつあたりはやめようと思ったそのとき。
モニターの上部に『乱入』のアイコンが表示される。
2人、乱入してきたのだ。
1人は、『ひでっち』。
もう1人は、『らぶみな』。
LOVE!
「よりによって、ふざけた名前でっ。」
綾乃は急にやる気がでてきた。
(・・ラブリーナイトが、本当の愛を教えてあげるわっ!)
綾乃は心の中で吼えた。
午後8時を過ぎて、僕らはようやくゲームセンター『クラウン』から出てきた。
「ふぁ〜、楽しかったぁ!!また、一緒に来ようね!」
「捨てたもんでもないだろ?」
「うん。すっごく面白かったよ。」
ガンシューティングで遊んで、銃の扱い方も少し教えてみた。
淫魔猟兵も火器使うからな。
弾を込めて、狙って、引き金をひく。
それくらいの常識は教えておかないと。
自分の部屋に戻って、ミーナと作った食事を食べる。
風呂に入って寝床につくと、11時近くなっていた。
僕が仰向けになると、ミーナはすぐ覆いかぶさってきた。
「あはっ♪しあわせ♪」
彼女は僕の頬に鼻をこすりつけて来た。
「僕も、すごく幸せだよ。」
「この男はともだちで、こいびとで、・・どれい。」
「3つのなかでひとつだけ違うものがあります。それはどれでしょう。」
「違うものなんかないよーだ。」
彼女は、僕の頬にキスしてくる。
愛らしい声、甘酸っぱい香り、心地よいぬくもり。
彼女と目をあわせると、胸がキュッと苦しくなる。
「今夜は添い寝で、精を奪ってあげるからね♪」
ようは、遊びつかれてエッチする気がないわけだ。
「連合対ジオソードで戦って、疲れただろ。」
「すっごくしつこい奴なんだもん。」
そうだようなあ。
20分以上プレイ続いたぞ。
『あや』というプレイヤー、ものすごく手ごわかった。
結局、ミーナが後ろからビームソードで叩ききってとどめをさした。
異常なくらい、熟練した相手だった。
ミーナにとってはかなり刺激になったみたい。
「今日はこれでおやすみね。」
「じゃあ、夢の中で会う?」
「ううん。夢もなし。このままおやすみしよ?」
ミーナは起き上がって、部屋の明かりを消した。
僕らは静かに抱き合って、そのまま眠りに落ちた。
僕は、真っ暗な世界で目を覚ました。
まるで宇宙空間の真っ只中に浮いているよう。
宇宙には恒星の光があるが、ここには光がない。
夢!?
なんだ、夢の中か。
それにしてもこの宇宙空間は・・?
連合対ジオソードのやりすぎのせいか?
「ミナ!どうしたんだ。夢はなしだよっていったのに。」
返事はない。
「ミナ〜!どうした〜!お腹へったのか〜!」
やはり返事はない。
僕は妙なことに気づいた。
いつも、ミーナの夢の中では『それが夢であること』を意識できない。
今は『それが夢であること』を認識している。
僕は急に怖くなった。
これは夢・・なのか?
まさか、夢じゃないなんてこと、ないよな?
「ミナっ!!!聞こえてるんだろっ!!」
突然、目の前にぼんやりとした光る輪郭が現れた。
女性的な丸みを帯びた輪郭。
「・・ミナ・・?」
おかしい。
何もかも。
「ミナ、どうしたんだ?いったい、何かあったのか!?」
「よかった、またあなたに会えた。」
輪郭は、僕に言葉を投げかけた。
温かみのある、やさしい声。
しかしそれは、ミーナの声ではなかった。
ミーナじゃない!
「君は、誰?」
「わたしよ。忘れたの?」
「君はミーナじゃない。」
「私は、あの子じゃない。あの子じゃなくて、私なの。」
要領を得ない回答。
こいつは、本当にミーナじゃない。
「君は誰。名前は?」
「忘れた。覚えてない。思い出したくない。」
「どうして思い出したくないの。」
「忘れたいの。」
「こんな調子で話をしていれば、そのうち思い出してしまうよ。」
少しの間、相手は沈黙した。
「そうね。せっかくこうして幸せな気持ちになってるのだから・・」
「幸せ?」
「ええ。あなたとまた、めぐり合えたから。だから嫌なことは思い出したくないの。」
また沈黙。
相手が僕を、じっくりと観察しているが分かった。
見つめているのか。
「君は誰?僕を知ってるのか?」
その問いから逃げるように、輪郭は輝きを失っていく。
僕は息を呑んだ。
胸がどきどきして、緊張している。
足が震えている。
怖いのか?
本能は、相手が尋常な存在でないことを教えていたようだ。
相手が消えてほどなく、僕は意識を失った。
翌朝、朝食を摂る僕の顔を、ミーナは覗き込んできた。
「どうしたのよ。ぼけっとして。」
「昨日変な夢みなかった?」
「あたしはなぁんにも見なかったよ?」
「そっか。」
「そっちは、変な夢みたの?」
僕は問われるまま、ミーナに昨晩のできごとを話した。
「変なの〜。」
「だろ?」
「あたしは何にもしてないから、ひでっちが1人で見た夢よ。」
「でも、すごく不思議な感覚だった。まるで現実みたいで。」
「考えすぎ。所詮、夢は夢よ。」
そうだよな。考えすぎだよな。
「気分転換に飯食ったら本屋にでもいくか・・」
「エッチな本はいらないわよ。」
かわねぇっつーの。
食事の後、僕はミーナを連れて一番近い本屋に向かう。
近道に、市役所前の広場を通る。
ぬ・・
ぬおおおっ!!
いつもなら閑散としている広場が、今日はアベックで一杯だ!?
しかも、ベンチに座ってる男女は今にもやっちゃいそうな雰囲気だ!!
広場の入り口で呆然とする僕。
目の前のベンチに座ってる男女は、もう我慢できないようだ。
「あふ、あふん、山本クぅン、体がせつないよぉ〜」
ベンチに座って、女の子が、山本クンと思われる男性に絡み付いている。
山本クン、耐えられず、社会の窓を開いてビンビンになったモノを取り出す。
広場には軽く20組を超えるアベックで溢れている。
それぞれ、そんな調子ではじまっちゃう組もあれば、これからの組もある。
僕が唖然とする間に、山本クンは挿入して腰を振りはじめた。
「み、ミナ、これはいったい・・」
僕は手を繋いでいるミーナに耳打ちした。
「あはっ、あたしの仲間だよ。」
「止めさせないと・・」
「どうして止めさせるの?アオカンもプレイのひとつでしょ?」
「いくらなんでも、こんなに堂々とやるのはよくないよ。」
「ほら、恥辱プレイってあるじゃない。アオカンと恥辱プレイを同時に楽しんでるのよ。いいじゃない。」
「こんなのダメだ。すぐに止めさせるんだ。」
「なんでダメなのよ。みーんな楽しんでるのに。」
「人目につくところでいやらしいことすると、犯罪になるんだぞ。捕まっちゃうんだぞ。」
「大丈夫よ。捕まえる人も、捕まる人も、みーんなあたしたちの体に溺れちゃってるからね。」
く・・くそう・・
いつの間にか、『淫魔と戦う青年』モードの僕。
「そんなにダメだっていうなら、あたしと勝負して勝ったら、考えてあげるよ?」
「の、のぞむところだ・・・!」
「ルールは簡単。2人で夢の中で愛し合って、精力尽きたほうが負けよ。」
えっ・・ハンデとかないのかよ・・
「あの、僕に勝ち目なさそうなんですけど・・・」
「あはっ!!大丈夫、いっぱい愛してあげるから!!」
「いや・・その・・そういう問題じゃ・・」
ミーナはくるっと僕の前に立ちはだかると、僕に抱きついてきた。
「赤ちゃん作っちゃう夢、見せてあげる。」
情愛をこめて、彼女は僕を抱きしめる。
ちょっと頬を朱に染めるミーナ。
僕はかろうじて残った理性で、淫魔に襲われている男たちのことを思いやる。
「夢はいいから、アオカンを止めさせるんだ〜っ!」
「うふん、あなたも今からみんなの仲間に入るのよ♪気持ちよくドピュドピュさせてあげるねっ♪」
ミーナは目をつぶって、ディープキスしてくる。
数度舌を絡めあうと、僕は淫魔の体の虜になり、抵抗できなくなった。
すぅっと体が軽くなり、目の前は真っ暗になった。
僕は、どこかの宮殿の中にいた。
僕の立っている場所から、赤い絨毯が延びていた。
数メートル先には4段の階段があり、舞台のステージのような場所に続いている。
そこには玉座があって、赤い絨毯の終端となっていた。
玉座のそばに立っているのは、純白のドレスの高貴そうな少女。
「姫様を返してもらおうか。」
僕は言った。
「あの女は、だいぶ前にここを離れたわ。」
少女は、サキュバスの王女ミーナだった。
腰までのびた金色の髪の毛は、流れるように美しく、その体つきは艶かしい。
首から下がまったく露出しないドレスを着ていてさえ、緩やかなカーブを描く体形が手に取るように分かる。
「あなたのような人が、どうしてあんな小娘にこだわるの。」
「王家に恩義のある者として、姫様をお助けするのは当然のことだ。」
「恩義・・つまらない言葉。」
「そちらこそ、こんな人間とつまらない会話をすることもあるまい。」
「言葉を交わして、分かることもあるわ。私は、あなたと戦う気はありません。」
「ほお・・?」
僕は剣の柄にかけた手を緩めた。
「私は、強い後継者を残したいの。そのためには、あなたが必要なの。」
「なるほど・・!?」
「ルテシア姫は確かに醜くはないわ。でも年をとれば・・ね。それに引き換え私はどうかしら。永遠に美しいし、あなたの体を嫌というほど喜ばせることができる。」
「・・・」
「ルテシアではなくて、私を選んでほしいの。・・ちょっと唐突かしら。」
「・・・」
「あなたの愛に、ルテシアは応えられない。私は応えられるわ。」
「・・・」
「どう?二度三度、私の体を味わってみない?」
「ふむ・・」
「あなたほど勇者なら、多少サキュバスと交わったところで、どうということないでしょう。」
「交わる・・か。」
「私を受け入れてくれるなら、あなたのお手伝いをしてもいいわ。」
「では・・」
「ええ、ルテシアを探すお手伝いをするの。」
「悪い話じゃないな。」
「そう・・でしょ?話が早くていいわ。あなたに力を貸すわ。その代わり、私たちにも力を貸してもらう。」
「魔物が取引を申し出てくるとはな。」
「あなたならいいって思ったから、こんな話をするのよ。」
「フン。」
「うふふふ。ねぇ、ちょっと早いけど、おねんねしない?」
「変な真似はするんじゃないぞ。」
「うん。絶対にしない。約束する。」
僕は階段を上って、ミーナのそばまできた。
「さあ・・。」
彼女が玉座を指差すと、ボンと爆発が起こって、大きなダブルベットになった。
恥かしそうに、クスクスとミーナは笑う。
と、彼女のまとっていたドレスはぼろぼろと崩れるように消えた。
ドレスの下に着ていたのは、ワンピースの黒い水着だった。
股をみるとカットがU字型になっていて、控えめないやらしさを演出している。
「サキュバスが嫌なら、そういって。」
一瞬、女の目が真剣になった。
「いや。今、君も悪くないと思った。君が僕の力になってくれたら・・」
「うふふふふ。愛してくれれば、愛に応えるわ。」
ミーナはベットに上がり、あお向けになった。
「あなたも脱ぎ脱ぎしてくださいな★」
僕は言われるまま、皮のよろいを脱ぎ、服、下着も脱ぎ捨て全裸となった。
「あはっ、裸になったほうが素敵よ。」
僕は彼女の覆い被さって、軽くキスする。
甘い抱擁。
悪魔とは思えない、ほのかな春の香りが僕の鼻腔をくすぐる。
美しい金色の髪に触る。
いつの間にか彼女の顔色が紅潮している。
僕のほうも、肉棒がものすごい速さで固まっていくのが分かる。
「はぁ、ずぅっとあなたを待っていたの。」
「子供を作るために?」
「それだけじゃないわ。」
僕は右手で彼女の髪の毛を触りながら、左手で優しく乳房をもむ。
黒い水着のすべすべした感触と柔らかいおっぱい。
彼女の漏れる息が、興奮を一層高めてくる。
我慢汁が、ムスコの先からどんどん溢れてきている。
いかん・・
しかし、止まらない♪
「やん。本気で好きになっちゃう♪」
僕はディープキスを数度交わし、両手で胸をもみ始める。
心地よく、僕は黙ってしばらく彼女の体に夢中になる。
顔色は紅潮しても、彼女の端正な顔立ちは崩れることがない。
僕の目は、美しいその顔つきに夢中になってしまった。
「ウフフフ。子供作ってもいい気分になっちゃうでしょ?」
「ふふふ。何人ほしいんだ?」
「たくさん欲しい。本音を言うと、しばらくここで一緒に暮らしたいの。」
僕は、ミーナの股を右手の人指し指でなぞった。
縦筋を見つけ、深く指で押し込む。
「んんっ・・あなたっ、お願い、私のものになって!」
「僕が嫌がれば、どうせ力づくでくるんだろ!?」
「嫌がるなんて・・ありえないわ。私はこんなに美しく化けているのですから。」
「何人男を奴隷にしたんだ?」
「いえ、それは・・まだです。あなたが初めて。」
「ふうん。まさか処女だって言うんじゃないだろうな。」
「高貴な者ほど、男を抱く機会が乏しいのです。」
「では、まだ汚されていない聖地を征服するとするか。」
「ふふふ、征服されるのはどちらかしら!?さぁ・・一つになりましょう♪」
僕は水着の股の部分を指でずらして、彼女の性器を露出させる。
一旦体を起こし、彼女の腰に跨る。
そして、パンパンになっているペニスを、彼女の秘部にあてがった。
「そのまま、ゆっくり突いて。」
ミーナは愛しそうに、僕の太ももを愛撫する。
「ミーナ、可愛いな・・自分だけのものにしたい・・」
「私は永遠に、あなただけのものよ。」
僕はその言葉に導かれるように、腰でゆっくりと肉棒を押し込む。
「うくっ・・!」
僕は思わず声をだした。
こんな・・ただこれだけの行為で愛を感じてしまった・・
生暖かく粘液質の膣壁が、全方向から肉棒を圧迫してくる。
膣壁だけではない。
無数の触手のような器官があり、亀頭を容赦なく責めてくる。
あっという間に股間全体が射精願望に支配される!
ムスコはまだ浅いところにあるのに、耐えられなくなって腰を前後し始めた。
肉棒が膣内を前後する間も、触手は亀頭に張り付いているかのように責めてくる。
ごしごしと、亀頭をさすってくる。
その表面に生えたいぼいぼが、あっという間に僕の高みにつれていく!
ああ、もう!!射精したい!!
無意識のうちに彼女の体に覆い被さって、肩にしがみつく。
「み、ミナ、いくねっ!!」
「あらっ、勇者様ぁ?いれたばかりでイってしまうのですか?」
「くくっはぁっ、いい・・!!」
「イくと、私のこと好きになるわよ。何度もイけばどうなるか分かるわね。」
「しかし、これは・・うっ、もう・・!!」
ミーナはゆっくり優しく腰を前後させ、止めをさすように射精を促す。
挿入して1分も持たずに、僕は射精しそうになっている!!
こんなのって・・・
感じちゃだめだ・・!!
好きになっちゃう・・!!
サキュバスに溺れちゃう!!
「だ、だめだ、もう、ううううう!!」
体全身が火照って、いい気持ちになる。
難しいことはどうでもいい。
この子と一緒に暮らして、幸せな家庭を築きたい・・
じわ、じわっと、くすぐったいエッチな快感がこみ上げて、頭が真っ白になった。
と、尿道から赤ん坊の素がミーナの膣内に注ぎ込まれる。
ビューッ!ビュッ!ビュゥッ、ビュ・・ぴゅ。
1人で自慰にふけるときとは比べものにならない快感。
数秒間、射精が持続した。
「はぁっ、はぁっ、ぜぇぜぇ。」
「うふっ。私と結婚してね。」
彼女は優しく僕の頬にキスする。
「ふうふう、はぁはぁ、残念だが、まだ少し、理性は残ってるぜ。」
「強情ねぇ。どーせもう離れられないんだから、うんって言えばいいじゃない。」
「男は本能だけで生きてるわけじゃないぜ。」
「分かった分かった、さ、続きするよ。」
「ま、待て、あの、さっきの仲間になってくれるってのは本気だよな?」
「ええ。なによ、どうせ性欲処理係にするつもりなんでしょ?」
「ち、違うよ、ちゃんと恋人として・・」
「恋人じゃいやよ。奥さんじゃなきゃ、やだよ。」
ミーナはそういって再び腰を浅く揺らしてくる。
ペニスは射精が終わってからもずっと勃起したままだ。
「サキュバスがこんなにいいとは・・」
「結婚してよぉ。」
ミーナはせがむように、腰の動きを小刻みにして膣で締め上げる。
「うむっ、くぅ・・ひぃっ・・どうせ、結果は、わかってるん・・だろっ・・?」
さらに、いぼいぼのついた触手が、激しく亀頭を擦ってくる。
亀頭の表も裏も、エラも先っちょも満遍なく快楽責めにあっている!
「人間の女は、こんなことできないわよ♪」
「うぉ♪すげぇ気持ちいいや♪」
「いいでしょー、ね?ね?結婚して?」
ぎゅ、ぎゅ、と断続的に膣の締め付けがきつくなる。
僕たち2人の腰の動きも激しくなった。
どうしようもないほど気持ちよくて、射精を我慢できない。
この子が好きだ・・・
一緒にいたい・・!!
「あぅっ、いくっ、いくっ・・!!」
「ああん♪きてっ♪白いのいっぱいだしてっ!!」
僕は彼女と強く絡まったまま、膣の奥のほうで射精した。
どくんっ、どくっ!!どぴゅっ、ぴゅ、びゅ、びゅ。
触手も、膣壁の締め上げも止まる。
「ほ、おぉ、おお、おおお・・」
射精の余韻にひたる僕。
「どう?ただで、こんなに気持ちいいエッチがし放題よ。しかも、そんじょそこらの女より器量よし、性格よしの女の子が・・」
「分かった、そこまで言うなら、君と結婚するよ。」
「ほんとっ!?」
「こんなによくされたら、抵抗できないよ。君と一生連れ添うよ。」
「よろしくね、あ・な・た♪」
僕たちは何度もディープキスを交わした。
「くそっ、これじゃあ勇者じゃなくて魔王じゃないかよ。」
「大丈夫。私たちの婚姻は、他の者には口外させません。」
「礼をいうよ。・・これで僕らは仲間だ。姫様の救出を手伝ってもらう。」
「うふん♪その前に私を満足させてもらおうかしらね。」
「えっ!?」
「え、じゃないわよ。私、サキュバスなんだから、もっともっと気持ちよくしてもらわないと、気が済まないわ。」
「もっともっとって、そんなに・・?」
「あん♪いいじゃない♪疲れたら休ませてあげるから。」
「そ、そっか。」
「休憩入れると、私の満足感も薄れるけどね。」
「なんかそれ、休めば休むほど、ドツボにはまるような。」
「もうはまってるでしょ。とりあえず、精子出なくなるまで私と遊んでもらうわよ。」
「へへへ、こんなにキレイなのに、スキモノなんだな・・」
「うふん、早くお尻フリフリして?」
僕は言われるまま、腰を振り始める。
ずっぽり膣に収まってる竿を、膣壁がまた、ゴシゴシとさすってくる。
「ふ、ふぃぃ。気持ちいーっ・・」
僕は全身からこみ上げる喜びを言葉にする。
ますます固くなるペニス。
何度か腰を振ると、動きを止めていた触手が亀頭を責めてくる。
「これ、はぁっ、すごくいいよぉ!!」
「あはん♪男の子を寝取るときは、これでイチコロなのよ。」
「ぎ、ご、ごめん、いっちゃうっ!!」
「あら、どーぞ?いいのよ、出して。うふふふ・・」
彼女の腕が僕を強く抱く。
僕の胸板と彼女の乳房が密着する。
ぷにぷにしたマシュマロ。
その先についた乳首が、僕の胸をくすぐる!
「さぁ、あと何回かイけば、”好き”が”愛情”に変わるわよ?」
「うくっ、そんな、色仕掛けなんて・・」
「一生、面倒見てあげるからね♪濃いのいっぱい出して♪」
我慢できなくて、僕は彼女とディープキスする。
舌を絡めあう間に、イってしまった。
どくどくと、ねばっこい愛のエキスが彼女のおなかに流れ込む。
ミーナが愛しくてしようがない。
気が触れそうなほどに、好きになってしまっている。
「ぜぇぜぇ、絶対に離さない、君は僕だけのもの・・」
「いっぱい愛してね。幸せにしてあげるから。大事にするからね・・」
ペニスはまだまだ膣内で怒張している。
僕は愛しくて、散発的なディープキスを交わしながら腰を振る。
まだイきたりない・・
こどもも作りたくなってきちゃった。
「ミーナ、子宮に出していい?」
「赤ちゃんできるくらい、たっぷり出してくださいね♪」
亀頭を責める触手の動きが速くなった。
僕も、肉棒を膣壁にこすりつけるように、腰を揺らす。
ミーナは、両足を僕の腰に巻きつけ、両腕で僕の胴をくるむ。
「ねぇねぇ、私のこと、愛してる?」
「愛してるよ。これからは、君のために生きるよ。」
「ああん♪嬉しー!」
彼女の腰の動きが深いストロークになる。
触手で責められつつも、僕のペニスはどんどん奥へと導かれていく。
肉棒の先端が、こつんと固いものにぶつかった。
「そこよ、私たちの愛の結晶を作るところ。」
「くぅ、はあっ、君も、こどもも、幸せにするよ・・約束する・・!」
「エッチが終わっても、今の言葉、忘れないでね♪」
「忘れない・・ミーナ、愛してる・・!!」
ラストスパート。
僕は自分の欲望を満たすために、一心不乱に腰を振る。
僕は、完全にミーナの魅力に屈してしまったのだ。
ああっ、またイっちゃう・・!
びくっ!
どぴゅ、どおぴゅっ、どぴゅっ、どぴゅ、ぴゅ・・
「あ、ああっ、はぁ、気持ちいいよ、はぁはぁ。」
「エッチし終わったら、正式な婚姻手続きするからね。」
ミーナの強い抱擁が解けた。
僕の腹に絡まっていた太ももも、背中を押さえていた手も、僕から離れる。
彼女は腰を引いて、ペニスを抜いた。
とっても小さくなったムスコ。
抜くと、白濁液が漏れて彼女の股間を汚した。
我慢汁か彼女の愛液か、粘液の細い糸が、抜いたムスコと陰唇を結ぶ。
「どお?サキュバスに食べられちゃった感想は。」
「これからは、君のために生きるよ。」
「うふふっ、いい子ね♪こんなに出して・・♪」
陰唇を伝って滴り落ちる白濁液。
彼女はベットのかけ布団を掴んで、股間をぬぐった。
「君の愛情、ふきとっちゃった。」
僕に向かって微笑む彼女。
扇情的なその光景に、僕のムスコはまた勃起してくる。
「あん♪休ませてあげようと思ったのに。また入れたくなった?」
「枯れるまで搾って・・」
「いいわ、さ、入れなさい?」
ミーナは股を大きく広げて、指で花びらを広げる。
べとべとになった愛の穴。
呼吸するように、ひくひくしている。
僕は半ば奴隷のように彼女の命令に従う。
濡れた入り口に亀頭を押し当て、一気に挿入。
なかは2人の愛の営みのせいでベトベトになってて、すぐ奥まで挿入できた。
僕は最初から激しく腰を振って、彼女の子宮に射精しようとする。
「満足するまで私の体使っていいわよ。好きなだけ遊んだら、今度は、私を満足させるのよ。」
「はぁい・・」
「ご主人様、っていってごらん?」
「はぁい、ご主人さま・・」
「今日から私のことを、ご主人様って呼ぶのよ。」
「はぁい・・」
「いい子ね、奴隷として、大事に大事にしてあげるからね。」
「ご主人さまぁ・・ご主人様とこども作れるなんて、夢みたいですぅ・・」
「うふん、これから何千人と子供作れるのよ、幸せでしょ?」
「うくっ、はぁ、ぐ、し、幸せ・・」
ぴゅーーっ!!どくっ!!どぴゅっ!!ぴゅっ!!
「ほら、イってるときもしっかり腰を振りなさい。とめられると嫌なのよ。」
「はい、ご主人様っ・・」
こきこき、こきこきと、腰を振る。
僕はご主人様のために、腰を振っては射精し、射精しては腰を振る。
何度も何度も精子を子宮に注いで、僕はいつのまにか、気絶していた。
「ねぇねぇ、あなた。」
僕は頬に触る柔らかい手に起こされた。
「おはよ、あなた。」
ミーナが上から僕を覗き込んでいる。
「おはよう・・って、僕は・・?」
「サキュバスに食べられちゃいました。」
起き上がると、僕はエッチしたベットの上にいた。
ミーナは、バスローブを着ていたが、おなかが変に膨らんでいる。
「すまないな、いつのまにか、眠ってしまったみたいだ。」
「ふふっ、よかったわね、サキュバスに襲われたのに生きてて。」
「精が不味かったんだろ?」
彼女は笑って、おなかを撫でた。
「ねぇ・・?」
「分かってるよ。君のために生きるって、いったろ?」
「ありがとう。私たち、妊娠するのが人間よりずっと早いのよ。」
「産むのも、育つのも早いんだろ?」
「ええ。これから、なれないことばっかりで大変だと思うけど、よろしくね。相談にはのるわ。」
「よくいうぜ、そっちだって旦那もつの初めてだろ?相談に乗るよ。」
「もー馬鹿にして・・」
僕たちはくすくすと笑ってから、抱き合って唇を重ねた。
初夜を無事に過ごした祝福のキスを互いに交わす・・
おなかの赤ちゃんのために、激しいセックスはやめたほうがいいな・・
しまった。
僕は夢から覚めた途端、そう思った。
また、深層心理を逆手に取るような夢で、搾りとられた。
目を開くと、青空が見えた。
ミーナが騎上位で僕に跨っている。
大胆にスカートをめくりあげ股を開いて、濡れた二つ目の花びらをティッシュで拭いている。
「このオナホール、ほんとっ重宝するわねぇ。」
くーーーっ・・
「本物そっくりの挿入感!一回1万円!なーんてね。」
また、ミーナのオナホールで射精させられた・・!
あんなチクワで、僕の精を・・!!
ものすごく空しい。
精液泥棒された気分。
とはいえ・・
自分で抜くより、オナホールで出したほうが遥かに気持ちいいんだけどな。
セックスしてるみたいな気分になれるし。
いかんいかん、思い出すとまたムスコが固くなる。
「うふふ、ずいぶんたくさん出したね。」
「あ、これは、いや、その・・」
「オナホール、そんなに良かった?」
「そりゃ、・・死んでもいいくらい気持ちよかったよ・・」
「また、続きしようね。」
「その・・夜に・・しよっか。」
「うん!!」
ああ、いいのか・・?
こんなこと何度もしてたら、骨の髄までしゃぶり尽くされるぞ・・
でも、またヤりたい・・
あんな気持ちいい体験、くせになっちゃうよ。
ミーナは立ち上がって衣服を整える。
僕も立ち上がって、ベルトを締めると可能な限り平静を装う。
草の上に寝ていたのだ。
僕はぽんぽんと、ズボンを払う。
思いっきりキスしたいけど、我慢する。
すれば第二ラウンドが始まってしまうから。
ミーナの心遣いだろうか、僕たち2人は広場と駐車場を仕切る植え込みの陰にいた。
植え込みの高さは1mくらいで、僕らを両側をはさむように続いている。
恐らく、広場側からも駐車場からも僕らの様子は見えなかったはずだ。
立ったままエッチしたらバレバレだけど。
「えー、こほん。」
わざとらしく咳払いする僕。
「ミーナ様の勝ち!よって、ここの皆にはアオカンしまくってもらいまーす♪」
喜ぶなよ・・
周囲のアベックどもは、最高潮に達しているようだ。
粘液質の音といやらしい声があたりを埋め尽くしている。
「ミナ、本屋にいくぞ。」
「あはっ、ちゃーんと覚えてたのね。」
「そう簡単に忘れないよ。僕は使命感の強い男だからな。」
ミーナはくすっと笑って、僕のそばに寄り添う。
彼女が僕の右手を握ったそのとき。
「皆!目を覚まして!淫魔にだまされてはだめよ!!」
澄んだ声が、あたりの如何わしい空気を引き裂いた。
不思議とその声は、僕の意識をはっきりさせた。
「何!?誰なの!?」
ミーナは慌てて周囲を見渡す。
他の淫魔たちも、相手の男を押しのけて、衣服がはだけたままで立ち上がった。
「あなたたちの好きなようにはさせないわ!このラブリーナイトがいる限り!」
「ラブリーナイト!?」
僕とミーナは同時にその名前を叫んだ。
僕は、澄んだ声の主を3階建ての市役所の最上階に見つけた。
僕はミーナを抱き寄せると、すばやくかがみ込んだ。
植え込みの陰に隠れるようにアオカンしてたのが幸いした。
僕らは完全にラブリーナイトから身を隠した。
体を隠しつつ、植え込みの枝を手で少し広げて、反対側の様子を伺う。
ラブリーナイトはひらりと飛び降りると、僕らのいる広場に降り立った。
噴水のそばに立つ。
「愛と美と正義の戦士!!ラブリーナイト参上!!」
凛とした声で、名乗りをあげる正義の戦士。
相変わらず、橙のミニスカートにセーラー服風レオタードの萌コスチューム。
健康的な発育のいい体。
相変わらずアイドル顔負けの美少女だ。
しかし・・
こいつは敵なのだ。
衣服のはだけた淫魔20数匹が、ラブリーナイト1人を囲んでいる。
「ラブリーナイト!貴様っ、よくも我が妹を・・」
「ラブリーナイト、今日が貴様の命日だっ!!」
口々に気勢をあげる淫魔たち。
まさに、一触即発。
「ここで様子を見よう。」
僕はミーナに耳打ちした。
「うん・・」
「こっちに来なければいいが・・やばくなったらこっそり逃げるぞ。」
「分かった。」
「これから、どうなるんだろう。少なくとも逃げる様子じゃないな。」
「皆、逃げないよ。好きな人を守るため、それから、仲間のために戦うわ。」
僕はぎゅっとミーナを抱いた。
いつのまにか、淫魔たちの手には剣や槍が握られている。
「死ねっ!ラブリーナイト!!」
10人近い淫魔が一斉に斬りかかる。
「ビターラブ・スパイク・ストーム!」
ラブリーナイトが天を指差して叫ぶと、その指先から無数の棘が飛び出した。
淫魔たちの体に、人差し指ほどのスパイクが、次々と突き刺さる。
「ぐわっ!?何だ、体が痺れていく!」
「はぁっ・・動けん・・!!」
うめき声をあげる淫魔たち。
一瞬で勝負はついた。
淫魔たちは芝生やアスファルトの上にうずくまる。
「すぐ、楽にしてあげるからね。」
ラブリーナイトの言葉に、温かみはなかった。
「ひでっち、離して。やっぱりあたしも戦わなきゃ!」
「だめだ、けがなんかしたらどうするんだ。」
僕は彼女の体を強く抱き寄せた。
「皆、殺されちゃうよ!?黙ってみてるわけにはいかないのよ!」
「相手が相手だ、今はやり過ごすんだ。ミナに何かあったら、僕は・・」
「怪我をしたって、仲間を守らなきゃ。」
「怪我で済まないことだってある。」
「あなたが与えてくれた力があるよ。大丈夫。2人分の愛の力がある。」
「相手は、ラブリーナイトなんだぞ。」
「信じて、2人で誓った永遠の愛の力を。」
鼻と鼻が触れ合うほどの距離。
彼女の唱えた魔法の言葉は、僕の恐怖を打ち払う。
「分かった。賭けてみよう。」
「ありがとう。無事で帰ってくるから。見てて。」
僕が手を離すと、彼女は静かに離れた。
見つめ合って僕に微笑む彼女。
胸のペンダントを服の上から握る。
「ラプチャー・ドリーム・テンプテーション!!ドレスアップ!!」
目を閉じたミーナは、己の決意を言葉にして叫んだ。
闇と沈黙が周囲を包む。
目の前にいたはずのミーナの姿も見えない。
数秒してすべての闇が消える。
植え込みの陰で隠れているのは僕だけ。
ミーナはもう、ここにいなかった。
「あ・・あなたは・・!?」
ラブリーナイトの声。
僕は植え込みの枝を退けて、広場を覗き見る。
5メートルほど目の前で、ミーナとラブリーナイトが対峙していた。
「闇を駆ける愛の狩人!淫魔猟兵!」
「淫魔猟兵?初めて会うわね。あなたは私の敵なの・・?」
「そう、敵。」
「残念ね。」
ラブリーナイトは目を細めた。
ミーナは金色の長い髪をなびかせ、左手で鎌を振り上げる。
僕がデザインした戦闘服とはいえ、その美しさはラブリーナイト以上。
こんな子に殺されるなら、本望かもしれない。
ラブリーナイトよりもさらに短いスカートのせいで、いやらしいあんよが丸見えだ。
あんな子を一日何回も抱いてるんだから、幸せものだよな・・
いや、そんなこと考えてる場合じゃない!!
ミーナにあわせるように、ラブリーナイトも剣を構えなおした。
一瞬、2人はにらみ合った。
ミーナは紺色の手袋に包まれた右手を握って、こぶしを突き上げた。
「ソニックスピード!」
「アークへイスト!!」
ミーナが言い終わる前に、ラブリーナイトは叫ぶ。
次の瞬間、僕の目の前から2人が消えた。
あちらこちらで、剣と鎌のぶつかり合う音。
2人がもらす声も聞こえる。
僕の目で認識できない速さで、2人は斬りあっているのだ。
数秒後、先に姿を現したのはラブリーナイトのほうだった。
僕から20m以上離れた場所に立っていた。
上から降ってくる”何か”を見て剣を構えている。
その”何か”も、ラブリーナイトのまん前に着地して姿を現した。
姿を現したミーナは、ラブリーナイトにさらに斬りかかった。
防戦に徹するラブリーナイト。
ミーナの激しい攻撃に、攻めるチャンスを見出せずにいるのだ。
ラブリーナイトは後退を続け、僕のほうへ寄ってくる。
僕の目からは彼女の後ろ姿しか見えないが、その防戦の様子は危なっかしい。
今にも彼女の頬に鎌の刃があたりそうだ。
「くっ、あっ!?」
ミーナの鎌は容赦なくラブリーナイトを襲う。
彼女の苦戦は火を見るより明らかだ。
鎌の先端と刃の反対側にも、それぞれ鋭い棘と刃がついている。
鎌の刃も含めれば3方向からの攻撃が可能なのだ。
「甘い!」
ラブリーナイトの一瞬の隙をついたミーナの攻撃。
鎌の先端のスパイクが、ラブリーナイトの肩を突いた。
「くぅっ・・」
後ろからみた限り、肩を貫通はしていない。
すばやく、鎌を引き抜くミーナ。
たじろぐラブリーナイト。
ミーナは鎌を振り上げた。
万事休す。
『もういい、君の勝ちだ。』
僕は、見てられなくなって淫魔猟兵に語りかける。
『可愛いコが苦しむのは耐えられない?優しいのね。』
痛烈な皮肉が返ってきた。
『このコをここで殺して、何が解決する!?』
『淫魔を殺したり傷つけたりする厄介者が、いなくなるわ。』
『そんなことはない、倒せば倒すほど、新手がでてくるに決まってる。』
『じゃあ聞くわ、ここでこのコを殺して、何か問題があるの?』
『・・・・それは・・・』
「ラブリーナイト、おまえに分かるか、この力の差が。」
ミーナは脅すように言った。
僕の腕の中にいるときの、あのすべてを許すような優しい口調ではない。
まるで別人のようだ。
信じられない。
僕の恋人が、いままさに人殺しをしようとしている!
「こんな淫魔がいるなんて、信じられないわ。」
「信じても信じなくても、おまえは今この場で死ぬんだ。たいした差はない。」
「そう簡単に・・」
「おまえを許す気は全くないよ。おまえは同朋を殺した。その罪は、命をもってあがなってもらう。」
「淫魔を倒さなければ、この世界が、大事な人たちが、皆壊されてしまう!大切なものを守るために、私は戦ってるのよ!あがなうなんて冗談じゃない!」
「大切なものだって?」
「家族や友達、私が育った世界。あなたたちが壊そうとしているものよ!」
「壊そうとしているわけではない。われわれも大事なものを守るために、こうするしかないのだ。」
2人はしばし黙り込んだ。
「では、強いほうが勝つという結果になるな。」
ミーナの口元に冷酷な笑いが浮かんだ。
「ここで死んでもらう。」
「死ぬわけにはいかない!!」
ラブリーナイトは人間離れした跳躍力で飛びのく。
僕の隠れている植え込みと触るか触らないかという距離だ。
今後ろを向かれたら、間違いなく見つかる・・!!
ラブリーナイトの可愛いお尻がアップなのは嬉しいけど・・
っていうか、頼むからこっちを見ないで!
「残念だけど、今回はこうするしかないわね・・」
ラブリーナイトはすばやく呪文を詠唱する。
空から白い光の柱が降りてくる。
すっぽりとラブリーナイトを包むと、光は彼女をつれて消えた。
僕は植え込みから飛び出ると、淫魔猟兵に駆け寄った。
「ミナ・・!」
「あんたがピーピー泣きつくから、取り逃がしてしまったわ。」
違う。
敢えてミーナが逃がしたんだ。
自分の意志で。
その証拠に、彼女の表情には怒りがみえない。
「それは・・悪いことをしたよ。」
「あんたのせいよ。当然、罰を受ける覚悟はできてるわよね?」
「罰って、さっきあんなにしたじゃないか・・」
「今すぐとは言ってないわ。今晩でも、明日でも私は構わない。」
「もう好きにしてくれよ。」
「ウフフフ、あいつの命が助かった分だけ、ひでっちには働いてもらうからね。」
「うん、ところでさ、そろそろ変身解いてもらえないかな・・」
「えっ、そうだね。」
「その格好、ドキドキして辛いよ。」
「あはっ、ときめいちゃう?」
「なんていうか、萌える。」
「燃える?」
「いや、なんでもない、とにかく変身を・・」
スカートは短いし、さりげなく体つきを誇示するコスチュームだし。
変身すると、輪をかけて綺麗に見えるし。
心臓が高鳴って呼吸困難になりそうだ。
ミーナが変身を解いたあと、改めて周囲を見回す。
ひとっこひとりいなくなっていた。
静かに、広場の噴水から水が沸いている。
ミーナは僕に寄り添って、僕の右腕を奪った。
自分のものといわんばかりに、僕の腕をその体に押し付ける。
と、さわやかな秋風が、僕ら2人を包んだ。
そうだ、僕はここに来た理由を思い出した。
「本屋、行っていいかな。」
「うん。こんどこそ、ね。」
そう言う彼女の目は、どこか遠くを眺めていた。
「・・・アイツ、きっとまた出てくるね。」
「ミナのほうが強いから、大丈夫だよ。」
「あはっ、あたしたちの愛の力だもん♪強くて当然よ!」
「搾り尽くされてるからなあ・・」
「ねぇねぇ、あたしのあんよとアイツのあんよ、どっちがよかった?」
あのなぁ・・
戦闘中にそんなとこ見てるほど、僕は色ボケじゃないつうの!
ぶっちゃけ、ちょっとは見てたけど。
「そりゃあ、ミナに決まってるだろ?断然よかったよ!」
「どこがどうよかった?」
「色といい、ふっくら具合といい、思わず触りたくなるよ。」
「ふーん。あたしが命がけで戦ってる間、そんなこと考えてたんだ。」
「え、いや、その・・」
「冗談よ、じょーだん!さ、早く本屋さんいこっ!」
ミーナは、無邪気な笑顔を浮かべて言った。
僕はしばらく歩いて、次第に大きくなっていく不安に気づいた。
どうしたらいいんだ?
次回、あるいはその次にラブリーナイトと遭遇したとき。
僕はミーナに、ラブリーナイトを見逃すように説得できるだろうか。
ミーナさえよければ、僕もよくなってしまうんじゃないか。
世界がどうなってしまうとしても。
心までもミーナの虜になってしまってはいけない。
最後の最後で、ミーナに抗える強さを持ち合わせなければ、世界に未来はない。
肌を重ねれば重ねるほど、深く彼女に隷従してしまう。
奴隷になっていく。
一回、また一回と甘美な誘惑に負けて、白い愛情を注ぎ込む。
そのたびに、理性が削がれていくのだ。
表面を覆う恋人あるいは家族としての関係。
そしてその裏には、人間と淫魔の互いの生存をかけた戦いが展開している。
この表裏一体の2人の関係が、今の僕たちの絆を強固なものにしているのだ。
愛しすぎてしまうから、距離をおかなくちゃない。
距離があるからこそ、もっともっと近くにいきたい。
表と裏がそれぞれ反対側を補強する役目を担っているんだ。
ミーナは好きなだけ、甘えさせてくれる。
でもそれは、罠・・なんだよな?
彼女を求めれば求めるほど、僕は人の道から外れていく。
理性も、人間としての道徳も失っていくんだ。
甘美すぎる快楽と濃厚な愛情を経験する代償に・・。
その日の夕方。
僕は食事もせずに彼女をベットに誘った。
翌朝、空が白むまで彼女を抱いて愛しつづけた。
それでもなお、僕の胸には何か重たいものが残っていた。
きっと、ミーナにも残っていたことだろう。
僕たちは忘れかけてた。
違う生き物であること。
ラブリーナイトは、僕らにそれを思い出させた。
淫魔が栄えれば人類は衰退する。
頭のすみっこに追いやっていた嫌な思考が、どんどん大きくなる。
大きくなれば大きくなるほど、ミーナの心地よい体を求めてしまう。
とっくに精は枯れているのに、乳房をもんだり、深く深くキスを交わしたり。
セックス中毒になったみたいだ。
現実逃避してしまってるのかな。
苦しくて耐えられず、とうとう僕は、ベットの上でミーナに打ち明けた。
そして、僕は今の気持ちを言った。
「何もかも、どうでもよくなってしまいたい。」
「おしまいよ。そうなったらキミじゃない。」
「どうしたらいいか、分からないよ。」
「人間は、悩み苦しんで、成長していく。あたしたちもそう。」
「じゃあ、これは成長の過程なのかな。」
「そうよ。あたしも、あいつだって、悩んでる。あたりまえよ。うまい落としどころを探したいの。」
「それって、見つかるかな。」
「さてね。なるようにしかならないわ。前向きに生きてくしかないわよ。」
「淫魔の言葉とは思えないな。」
「そうでしょ?あのね・・あたし、実は、淫魔じゃないんだ。」
「えっ・・!?」
「あはははっ、じょーだん、冗談だよぉ♪」
そういって茶化す彼女の笑顔を見て、より深く淫魔の手中に落ちていく感じがした。
僕は己の悩みや苦しみを、淫魔に打ち明けてしまうようになったのだ。
悔しいけど、でも何故かすっきりして、救われた感じがした。
そして、彼女が僕の妻になる日もそう遠くない気がした。
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