『淫魔猟兵対美少女戦士』

<1>-<2>-<3>-<4>-<5>-<6>-<7>-<8>
本SS(短編小説)は、2005年から2015年ごろまでWisper様に掲載されていた作品です。

<5>

暗い会議室。

液晶プロジェクターで壁いっぱいに映し出された映像。

そこには、次々と制服の娘を血祭りにあげる淫魔猟兵の姿があった。

『ソニック・スピード!』

金色の髪をなびかせ、淫魔の少女は映像から消えた。

と、一列に並んでいた制服の娘たちは、透明な刃物に切り裂かれたように、突然腕や首が胴と離れる。

「いかがです。これは、淫魔猟兵システムの能力の一部でしかありません。」

重苦しい沈黙を破ったのはカーナだった。

記録映像は、死体のそばに現れた淫魔猟兵の姿を捉え静止した。

淫魔の女王はため息をついた。

壁から映像が消え、会議室の照明が灯る。

その中ほどに男が一人、女が五人座っていた。

「暴走すれば手に負えんぞ。カーナ、とんでもないものを作ってくれたな。」

メルはカーナに食いかかった。

「ま、野心的プロジェクトですから。多少のリスクは仕方ありません。」

カーナは、けろっとした様子で答える。

「貴様、制御不能になったらどうするのだ!?」

「一応安全装置はあります。」

「土壇場でも役に立つんだろうな。」

メルは詰問した。

「正確には安全装置ではありません。安全装置として働く人物です。ミーナ様のパートナーです。彼を人質にとれば、ミーナ様はこちらの言葉を聞くはずです。」

カーナの冷酷な返事に、その場は静まり返る。

「万が一でも、女神騎士の魂が目覚めると厄介だな・・」

ミーナの父親は呟いた。

「大きな衝撃があれば目覚めるかもしれないわ。」

ミルバが答えた。

「野心的なプロジェクトには、リスクはつきものです。ミルバ様。ヒデマロ様。」

カーナはさらりと言った。

「ああ、哀れなミーナ。そう思わないか。」

メルはカーナを見ながら言う。

「仕方ないことなの。あの子しかいないのよ。」

ミルバは、どこか悲しい目をしてメルに答えた。

会議室の空気は再び、重くなった。



「このあたしが、人間ごときに・・」

ミーナは怒りに身を震わせ、こぶしを握った。

「そのおごり高ぶる心が、命とりになったのだ。残念だったな。」

「絶対に認めない!こんな結末は!」

「んなこといったって、しょうがないじゃん。数学とか物理ってのは、積み重ねが大事なんだよ。暗記じゃのりきれないっつうの。」

「あーん!なんであたしが、こんな悲惨な点数なのよぉ〜」

試験が終わり、僕らの手元に答案用紙が戻ってきた。

ミーナの結果は惨憺たるものだった。

英語と理系科目は、軒並み赤点。

その他の文系科目は、平均点近辺。

そりゃそうだ。

突然高校生になったって、勉強できるわけない。

「くぁーー、もうこんな学校、淫魔の巣にしてあげるわ!!」

「待て!はやまるな!」

「あーっはっはっは!今日から私はサキュバス帝国の女王さまよ!!」

「ひぃっ!?」

「ほーっほっほっほっ!!!」

金曜日の放課後、僕らは校舎の屋上にいた。

今日も雲ひとつない青空。

「げ、現実を直視しようぜ!?」

彼女と出会ってから、3週間が過ぎようとしていた。

僕らの間には、言葉で表現できない何かが、確かに育っていた。

「ふがーーっ!くやし〜っ!!なんであたしが、ペットより点数低いのよっ!」

誰がペットじゃ。

「人間を甘くみるでない。」

「なによ!肉人形の分際で!」

「おいおい、いい加減にしなさい。そんなにムシャクシャするなら、いいところ教えてやるよ。僕についておいでよ。」

「エッチなことなら、結構よ。」

「そんなの分かってるさ。鬱憤を晴らせるところだよ。よし!いくぞ!」



虹峰綾乃は、部屋に戻る気がしなかった。

自分でも、今の自分がおかしいのは分かっている。

もっとストレス解消が必要なのだ。

この一週間、ろくなことがなかった。

ジャスティスナイトが遭遇した”何か”。

その正体を知ろうとしても、手がかりがなかった。

八方ふさがりだった。

綾乃の憂鬱はそれだけではなかった。

今日の昼休み。

同級生の古村辰彦と、近衛麻衣子のキスシーンにばったり遭遇したのだ。

嫌らしい手つきで麻衣子の体を愛撫する辰彦。

まるで淫魔のように、自らの肉体を辰彦に擦り付ける麻衣子。

辰彦はフェンシング部の主将で、勉強もできて、女子には人気が高かった。

一方麻衣子は、怪しい店に出入りしていたことが発覚し、先月やっと休学処分が解除になったばかりだった。

『あんな・・あんな相手と、どうして!』

綾乃が操縦桿の引き金を引く。

綾乃のビームライフルから、ビームが発射される。

プレイヤー名『きっころ』の乗る緑色の量産型ロボットに、ビームが直撃した。

目の前のモニターが映し出す、真っ暗な宇宙空間。

『きっころ』のロボットは爆発して、破片がばらばらと飛ぶ。

このゲームセンターで今一番人気の『連合対ジオソード』。

綾乃が乗るのは、連合軍の最強ロボットだった。

通称『連合の白い悪魔』。

このゲーム機は4つの筐体があり、それぞれに人が乗り込むようになっている。

戦闘の形式は、2対2のチームバトルだ。

綾乃の味方はCPUが担当している。

敵の『きっころ』が倒れたことで、動きののろい旧式量産型ロボットを駆る『もりぞー』だけになった。

「そこぉっ!!」

綾乃はすばやく接近すると、こちらの動きに追従できない『もりぞー』にビームを叩き込んだ。

一撃で破壊される『もりぞー』。

戦闘は終わった。

戦闘の統計結果が表示される。

綾乃の回避率98%、命中率99%だ。

「フッ。」

気持ちがすっとした。

綾乃が、いい加減やつあたりはやめようと思ったそのとき。

モニターの上部に『乱入』のアイコンが表示される。

2人、乱入してきたのだ。

1人は、『ひでっち』。

もう1人は、『らぶみな』。

LOVE!

「よりによって、ふざけた名前でっ。」

綾乃は急にやる気がでてきた。

(・・ラブリーナイトが、本当の愛を教えてあげるわっ!)

綾乃は心の中で吼えた。



午後8時を過ぎて、僕らはようやくゲームセンター『クラウン』から出てきた。

「ふぁ〜、楽しかったぁ!!また、一緒に来ようね!」

「捨てたもんでもないだろ?」

「うん。すっごく面白かったよ。」

ガンシューティングで遊んで、銃の扱い方も少し教えてみた。

淫魔猟兵も火器使うからな。

弾を込めて、狙って、引き金をひく。

それくらいの常識は教えておかないと。

自分の部屋に戻って、ミーナと作った食事を食べる。

風呂に入って寝床につくと、11時近くなっていた。

僕が仰向けになると、ミーナはすぐ覆いかぶさってきた。

「あはっ♪しあわせ♪」

彼女は僕の頬に鼻をこすりつけて来た。

「僕も、すごく幸せだよ。」

「この男はともだちで、こいびとで、・・どれい。」

「3つのなかでひとつだけ違うものがあります。それはどれでしょう。」

「違うものなんかないよーだ。」

彼女は、僕の頬にキスしてくる。

愛らしい声、甘酸っぱい香り、心地よいぬくもり。

彼女と目をあわせると、胸がキュッと苦しくなる。

「今夜は添い寝で、精を奪ってあげるからね♪」

ようは、遊びつかれてエッチする気がないわけだ。

「連合対ジオソードで戦って、疲れただろ。」

「すっごくしつこい奴なんだもん。」

そうだようなあ。

20分以上プレイ続いたぞ。

『あや』というプレイヤー、ものすごく手ごわかった。

結局、ミーナが後ろからビームソードで叩ききってとどめをさした。

異常なくらい、熟練した相手だった。

ミーナにとってはかなり刺激になったみたい。

「今日はこれでおやすみね。」

「じゃあ、夢の中で会う?」

「ううん。夢もなし。このままおやすみしよ?」

ミーナは起き上がって、部屋の明かりを消した。

僕らは静かに抱き合って、そのまま眠りに落ちた。



僕は、真っ暗な世界で目を覚ました。

まるで宇宙空間の真っ只中に浮いているよう。

宇宙には恒星の光があるが、ここには光がない。

夢!?

なんだ、夢の中か。

それにしてもこの宇宙空間は・・?

連合対ジオソードのやりすぎのせいか?

「ミナ!どうしたんだ。夢はなしだよっていったのに。」

返事はない。

「ミナ〜!どうした〜!お腹へったのか〜!」

やはり返事はない。

僕は妙なことに気づいた。

いつも、ミーナの夢の中では『それが夢であること』を意識できない。

今は『それが夢であること』を認識している。

僕は急に怖くなった。

これは夢・・なのか?

まさか、夢じゃないなんてこと、ないよな?

「ミナっ!!!聞こえてるんだろっ!!」

突然、目の前にぼんやりとした光る輪郭が現れた。

女性的な丸みを帯びた輪郭。

「・・ミナ・・?」

おかしい。

何もかも。

「ミナ、どうしたんだ?いったい、何かあったのか!?」

「よかった、またあなたに会えた。」

輪郭は、僕に言葉を投げかけた。

温かみのある、やさしい声。

しかしそれは、ミーナの声ではなかった。

ミーナじゃない!

「君は、誰?」

「わたしよ。忘れたの?」

「君はミーナじゃない。」

「私は、あの子じゃない。あの子じゃなくて、私なの。」

要領を得ない回答。

こいつは、本当にミーナじゃない。

「君は誰。名前は?」

「忘れた。覚えてない。思い出したくない。」

「どうして思い出したくないの。」

「忘れたいの。」

「こんな調子で話をしていれば、そのうち思い出してしまうよ。」

少しの間、相手は沈黙した。

「そうね。せっかくこうして幸せな気持ちになってるのだから・・」

「幸せ?」

「ええ。あなたとまた、めぐり合えたから。だから嫌なことは思い出したくないの。」

また沈黙。

相手が僕を、じっくりと観察しているが分かった。

見つめているのか。

「君は誰?僕を知ってるのか?」

その問いから逃げるように、輪郭は輝きを失っていく。

僕は息を呑んだ。

胸がどきどきして、緊張している。

足が震えている。

怖いのか?

本能は、相手が尋常な存在でないことを教えていたようだ。

相手が消えてほどなく、僕は意識を失った。



翌朝、朝食を摂る僕の顔を、ミーナは覗き込んできた。

「どうしたのよ。ぼけっとして。」

「昨日変な夢みなかった?」

「あたしはなぁんにも見なかったよ?」

「そっか。」

「そっちは、変な夢みたの?」

僕は問われるまま、ミーナに昨晩のできごとを話した。

「変なの〜。」

「だろ?」

「あたしは何にもしてないから、ひでっちが1人で見た夢よ。」

「でも、すごく不思議な感覚だった。まるで現実みたいで。」

「考えすぎ。所詮、夢は夢よ。」

そうだよな。考えすぎだよな。

「気分転換に飯食ったら本屋にでもいくか・・」

「エッチな本はいらないわよ。」

かわねぇっつーの。

食事の後、僕はミーナを連れて一番近い本屋に向かう。

近道に、市役所前の広場を通る。

ぬ・・

ぬおおおっ!!

いつもなら閑散としている広場が、今日はアベックで一杯だ!?

しかも、ベンチに座ってる男女は今にもやっちゃいそうな雰囲気だ!!

広場の入り口で呆然とする僕。

目の前のベンチに座ってる男女は、もう我慢できないようだ。

「あふ、あふん、山本クぅン、体がせつないよぉ〜」

ベンチに座って、女の子が、山本クンと思われる男性に絡み付いている。

山本クン、耐えられず、社会の窓を開いてビンビンになったモノを取り出す。

広場には軽く20組を超えるアベックで溢れている。

それぞれ、そんな調子ではじまっちゃう組もあれば、これからの組もある。

僕が唖然とする間に、山本クンは挿入して腰を振りはじめた。

「み、ミナ、これはいったい・・」

僕は手を繋いでいるミーナに耳打ちした。

「あはっ、あたしの仲間だよ。」

「止めさせないと・・」

「どうして止めさせるの?アオカンもプレイのひとつでしょ?」

「いくらなんでも、こんなに堂々とやるのはよくないよ。」

「ほら、恥辱プレイってあるじゃない。アオカンと恥辱プレイを同時に楽しんでるのよ。いいじゃない。」

「こんなのダメだ。すぐに止めさせるんだ。」

「なんでダメなのよ。みーんな楽しんでるのに。」

「人目につくところでいやらしいことすると、犯罪になるんだぞ。捕まっちゃうんだぞ。」

「大丈夫よ。捕まえる人も、捕まる人も、みーんなあたしたちの体に溺れちゃってるからね。」

く・・くそう・・

いつの間にか、『淫魔と戦う青年』モードの僕。

「そんなにダメだっていうなら、あたしと勝負して勝ったら、考えてあげるよ?」

「の、のぞむところだ・・・!」

「ルールは簡単。2人で夢の中で愛し合って、精力尽きたほうが負けよ。」

えっ・・ハンデとかないのかよ・・

「あの、僕に勝ち目なさそうなんですけど・・・」

「あはっ!!大丈夫、いっぱい愛してあげるから!!」

「いや・・その・・そういう問題じゃ・・」

ミーナはくるっと僕の前に立ちはだかると、僕に抱きついてきた。

「赤ちゃん作っちゃう夢、見せてあげる。」

情愛をこめて、彼女は僕を抱きしめる。

ちょっと頬を朱に染めるミーナ。

僕はかろうじて残った理性で、淫魔に襲われている男たちのことを思いやる。

「夢はいいから、アオカンを止めさせるんだ〜っ!」

「うふん、あなたも今からみんなの仲間に入るのよ♪気持ちよくドピュドピュさせてあげるねっ♪」

ミーナは目をつぶって、ディープキスしてくる。

数度舌を絡めあうと、僕は淫魔の体の虜になり、抵抗できなくなった。

すぅっと体が軽くなり、目の前は真っ暗になった。



僕は、どこかの宮殿の中にいた。

僕の立っている場所から、赤い絨毯が延びていた。

数メートル先には4段の階段があり、舞台のステージのような場所に続いている。

そこには玉座があって、赤い絨毯の終端となっていた。

玉座のそばに立っているのは、純白のドレスの高貴そうな少女。

「姫様を返してもらおうか。」

僕は言った。

「あの女は、だいぶ前にここを離れたわ。」

少女は、サキュバスの王女ミーナだった。

腰までのびた金色の髪の毛は、流れるように美しく、その体つきは艶かしい。

首から下がまったく露出しないドレスを着ていてさえ、緩やかなカーブを描く体形が手に取るように分かる。

「あなたのような人が、どうしてあんな小娘にこだわるの。」

「王家に恩義のある者として、姫様をお助けするのは当然のことだ。」

「恩義・・つまらない言葉。」

「そちらこそ、こんな人間とつまらない会話をすることもあるまい。」

「言葉を交わして、分かることもあるわ。私は、あなたと戦う気はありません。」

「ほお・・?」

僕は剣の柄にかけた手を緩めた。

「私は、強い後継者を残したいの。そのためには、あなたが必要なの。」

「なるほど・・!?」

「ルテシア姫は確かに醜くはないわ。でも年をとれば・・ね。それに引き換え私はどうかしら。永遠に美しいし、あなたの体を嫌というほど喜ばせることができる。」

「・・・」

「ルテシアではなくて、私を選んでほしいの。・・ちょっと唐突かしら。」

「・・・」

「あなたの愛に、ルテシアは応えられない。私は応えられるわ。」

「・・・」

「どう?二度三度、私の体を味わってみない?」

「ふむ・・」

「あなたほど勇者なら、多少サキュバスと交わったところで、どうということないでしょう。」

「交わる・・か。」

「私を受け入れてくれるなら、あなたのお手伝いをしてもいいわ。」

「では・・」

「ええ、ルテシアを探すお手伝いをするの。」

「悪い話じゃないな。」

「そう・・でしょ?話が早くていいわ。あなたに力を貸すわ。その代わり、私たちにも力を貸してもらう。」

「魔物が取引を申し出てくるとはな。」

「あなたならいいって思ったから、こんな話をするのよ。」

「フン。」

「うふふふ。ねぇ、ちょっと早いけど、おねんねしない?」

「変な真似はするんじゃないぞ。」

「うん。絶対にしない。約束する。」

僕は階段を上って、ミーナのそばまできた。

「さあ・・。」

彼女が玉座を指差すと、ボンと爆発が起こって、大きなダブルベットになった。

恥かしそうに、クスクスとミーナは笑う。

と、彼女のまとっていたドレスはぼろぼろと崩れるように消えた。

ドレスの下に着ていたのは、ワンピースの黒い水着だった。

股をみるとカットがU字型になっていて、控えめないやらしさを演出している。

「サキュバスが嫌なら、そういって。」

一瞬、女の目が真剣になった。

「いや。今、君も悪くないと思った。君が僕の力になってくれたら・・」

「うふふふふ。愛してくれれば、愛に応えるわ。」

ミーナはベットに上がり、あお向けになった。

「あなたも脱ぎ脱ぎしてくださいな★」

僕は言われるまま、皮のよろいを脱ぎ、服、下着も脱ぎ捨て全裸となった。

「あはっ、裸になったほうが素敵よ。」

僕は彼女の覆い被さって、軽くキスする。

甘い抱擁。

悪魔とは思えない、ほのかな春の香りが僕の鼻腔をくすぐる。

美しい金色の髪に触る。

いつの間にか彼女の顔色が紅潮している。

僕のほうも、肉棒がものすごい速さで固まっていくのが分かる。

「はぁ、ずぅっとあなたを待っていたの。」

「子供を作るために?」

「それだけじゃないわ。」

僕は右手で彼女の髪の毛を触りながら、左手で優しく乳房をもむ。

黒い水着のすべすべした感触と柔らかいおっぱい。

彼女の漏れる息が、興奮を一層高めてくる。

我慢汁が、ムスコの先からどんどん溢れてきている。

いかん・・

しかし、止まらない♪

「やん。本気で好きになっちゃう♪」

僕はディープキスを数度交わし、両手で胸をもみ始める。

心地よく、僕は黙ってしばらく彼女の体に夢中になる。

顔色は紅潮しても、彼女の端正な顔立ちは崩れることがない。

僕の目は、美しいその顔つきに夢中になってしまった。

「ウフフフ。子供作ってもいい気分になっちゃうでしょ?」

「ふふふ。何人ほしいんだ?」

「たくさん欲しい。本音を言うと、しばらくここで一緒に暮らしたいの。」

僕は、ミーナの股を右手の人指し指でなぞった。

縦筋を見つけ、深く指で押し込む。

「んんっ・・あなたっ、お願い、私のものになって!」

「僕が嫌がれば、どうせ力づくでくるんだろ!?」

「嫌がるなんて・・ありえないわ。私はこんなに美しく化けているのですから。」

「何人男を奴隷にしたんだ?」

「いえ、それは・・まだです。あなたが初めて。」

「ふうん。まさか処女だって言うんじゃないだろうな。」

「高貴な者ほど、男を抱く機会が乏しいのです。」

「では、まだ汚されていない聖地を征服するとするか。」

「ふふふ、征服されるのはどちらかしら!?さぁ・・一つになりましょう♪」

僕は水着の股の部分を指でずらして、彼女の性器を露出させる。

一旦体を起こし、彼女の腰に跨る。

そして、パンパンになっているペニスを、彼女の秘部にあてがった。

「そのまま、ゆっくり突いて。」

ミーナは愛しそうに、僕の太ももを愛撫する。

「ミーナ、可愛いな・・自分だけのものにしたい・・」

「私は永遠に、あなただけのものよ。」

僕はその言葉に導かれるように、腰でゆっくりと肉棒を押し込む。

「うくっ・・!」

僕は思わず声をだした。

こんな・・ただこれだけの行為で愛を感じてしまった・・

生暖かく粘液質の膣壁が、全方向から肉棒を圧迫してくる。

膣壁だけではない。

無数の触手のような器官があり、亀頭を容赦なく責めてくる。

あっという間に股間全体が射精願望に支配される!

ムスコはまだ浅いところにあるのに、耐えられなくなって腰を前後し始めた。

肉棒が膣内を前後する間も、触手は亀頭に張り付いているかのように責めてくる。

ごしごしと、亀頭をさすってくる。

その表面に生えたいぼいぼが、あっという間に僕の高みにつれていく!

ああ、もう!!射精したい!!

無意識のうちに彼女の体に覆い被さって、肩にしがみつく。

「み、ミナ、いくねっ!!」

「あらっ、勇者様ぁ?いれたばかりでイってしまうのですか?」

「くくっはぁっ、いい・・!!」

「イくと、私のこと好きになるわよ。何度もイけばどうなるか分かるわね。」

「しかし、これは・・うっ、もう・・!!」

ミーナはゆっくり優しく腰を前後させ、止めをさすように射精を促す。

挿入して1分も持たずに、僕は射精しそうになっている!!

こんなのって・・・

感じちゃだめだ・・!!

好きになっちゃう・・!!

サキュバスに溺れちゃう!!

「だ、だめだ、もう、ううううう!!」

体全身が火照って、いい気持ちになる。

難しいことはどうでもいい。

この子と一緒に暮らして、幸せな家庭を築きたい・・

じわ、じわっと、くすぐったいエッチな快感がこみ上げて、頭が真っ白になった。

と、尿道から赤ん坊の素がミーナの膣内に注ぎ込まれる。

ビューッ!ビュッ!ビュゥッ、ビュ・・ぴゅ。

1人で自慰にふけるときとは比べものにならない快感。

数秒間、射精が持続した。

「はぁっ、はぁっ、ぜぇぜぇ。」

「うふっ。私と結婚してね。」

彼女は優しく僕の頬にキスする。

「ふうふう、はぁはぁ、残念だが、まだ少し、理性は残ってるぜ。」

「強情ねぇ。どーせもう離れられないんだから、うんって言えばいいじゃない。」

「男は本能だけで生きてるわけじゃないぜ。」

「分かった分かった、さ、続きするよ。」

「ま、待て、あの、さっきの仲間になってくれるってのは本気だよな?」

「ええ。なによ、どうせ性欲処理係にするつもりなんでしょ?」

「ち、違うよ、ちゃんと恋人として・・」

「恋人じゃいやよ。奥さんじゃなきゃ、やだよ。」

ミーナはそういって再び腰を浅く揺らしてくる。

ペニスは射精が終わってからもずっと勃起したままだ。

「サキュバスがこんなにいいとは・・」

「結婚してよぉ。」

ミーナはせがむように、腰の動きを小刻みにして膣で締め上げる。

「うむっ、くぅ・・ひぃっ・・どうせ、結果は、わかってるん・・だろっ・・?」

さらに、いぼいぼのついた触手が、激しく亀頭を擦ってくる。

亀頭の表も裏も、エラも先っちょも満遍なく快楽責めにあっている!

「人間の女は、こんなことできないわよ♪」

「うぉ♪すげぇ気持ちいいや♪」

「いいでしょー、ね?ね?結婚して?」

ぎゅ、ぎゅ、と断続的に膣の締め付けがきつくなる。

僕たち2人の腰の動きも激しくなった。

どうしようもないほど気持ちよくて、射精を我慢できない。

この子が好きだ・・・

一緒にいたい・・!!

「あぅっ、いくっ、いくっ・・!!」

「ああん♪きてっ♪白いのいっぱいだしてっ!!」

僕は彼女と強く絡まったまま、膣の奥のほうで射精した。

どくんっ、どくっ!!どぴゅっ、ぴゅ、びゅ、びゅ。

触手も、膣壁の締め上げも止まる。

「ほ、おぉ、おお、おおお・・」

射精の余韻にひたる僕。

「どう?ただで、こんなに気持ちいいエッチがし放題よ。しかも、そんじょそこらの女より器量よし、性格よしの女の子が・・」

「分かった、そこまで言うなら、君と結婚するよ。」

「ほんとっ!?」

「こんなによくされたら、抵抗できないよ。君と一生連れ添うよ。」

「よろしくね、あ・な・た♪」

僕たちは何度もディープキスを交わした。

「くそっ、これじゃあ勇者じゃなくて魔王じゃないかよ。」

「大丈夫。私たちの婚姻は、他の者には口外させません。」

「礼をいうよ。・・これで僕らは仲間だ。姫様の救出を手伝ってもらう。」

「うふん♪その前に私を満足させてもらおうかしらね。」

「えっ!?」

「え、じゃないわよ。私、サキュバスなんだから、もっともっと気持ちよくしてもらわないと、気が済まないわ。」

「もっともっとって、そんなに・・?」

「あん♪いいじゃない♪疲れたら休ませてあげるから。」

「そ、そっか。」

「休憩入れると、私の満足感も薄れるけどね。」

「なんかそれ、休めば休むほど、ドツボにはまるような。」

「もうはまってるでしょ。とりあえず、精子出なくなるまで私と遊んでもらうわよ。」

「へへへ、こんなにキレイなのに、スキモノなんだな・・」

「うふん、早くお尻フリフリして?」

僕は言われるまま、腰を振り始める。

ずっぽり膣に収まってる竿を、膣壁がまた、ゴシゴシとさすってくる。

「ふ、ふぃぃ。気持ちいーっ・・」

僕は全身からこみ上げる喜びを言葉にする。

ますます固くなるペニス。

何度か腰を振ると、動きを止めていた触手が亀頭を責めてくる。

「これ、はぁっ、すごくいいよぉ!!」

「あはん♪男の子を寝取るときは、これでイチコロなのよ。」

「ぎ、ご、ごめん、いっちゃうっ!!」

「あら、どーぞ?いいのよ、出して。うふふふ・・」

彼女の腕が僕を強く抱く。

僕の胸板と彼女の乳房が密着する。

ぷにぷにしたマシュマロ。

その先についた乳首が、僕の胸をくすぐる!

「さぁ、あと何回かイけば、”好き”が”愛情”に変わるわよ?」

「うくっ、そんな、色仕掛けなんて・・」

「一生、面倒見てあげるからね♪濃いのいっぱい出して♪」

我慢できなくて、僕は彼女とディープキスする。

舌を絡めあう間に、イってしまった。

どくどくと、ねばっこい愛のエキスが彼女のおなかに流れ込む。

ミーナが愛しくてしようがない。

気が触れそうなほどに、好きになってしまっている。

「ぜぇぜぇ、絶対に離さない、君は僕だけのもの・・」

「いっぱい愛してね。幸せにしてあげるから。大事にするからね・・」

ペニスはまだまだ膣内で怒張している。

僕は愛しくて、散発的なディープキスを交わしながら腰を振る。

まだイきたりない・・

こどもも作りたくなってきちゃった。

「ミーナ、子宮に出していい?」

「赤ちゃんできるくらい、たっぷり出してくださいね♪」

亀頭を責める触手の動きが速くなった。

僕も、肉棒を膣壁にこすりつけるように、腰を揺らす。

ミーナは、両足を僕の腰に巻きつけ、両腕で僕の胴をくるむ。

「ねぇねぇ、私のこと、愛してる?」

「愛してるよ。これからは、君のために生きるよ。」

「ああん♪嬉しー!」

彼女の腰の動きが深いストロークになる。

触手で責められつつも、僕のペニスはどんどん奥へと導かれていく。

肉棒の先端が、こつんと固いものにぶつかった。

「そこよ、私たちの愛の結晶を作るところ。」

「くぅ、はあっ、君も、こどもも、幸せにするよ・・約束する・・!」

「エッチが終わっても、今の言葉、忘れないでね♪」

「忘れない・・ミーナ、愛してる・・!!」

ラストスパート。

僕は自分の欲望を満たすために、一心不乱に腰を振る。

僕は、完全にミーナの魅力に屈してしまったのだ。

ああっ、またイっちゃう・・!

びくっ!

どぴゅ、どおぴゅっ、どぴゅっ、どぴゅ、ぴゅ・・

「あ、ああっ、はぁ、気持ちいいよ、はぁはぁ。」

「エッチし終わったら、正式な婚姻手続きするからね。」

ミーナの強い抱擁が解けた。

僕の腹に絡まっていた太ももも、背中を押さえていた手も、僕から離れる。

彼女は腰を引いて、ペニスを抜いた。

とっても小さくなったムスコ。

抜くと、白濁液が漏れて彼女の股間を汚した。

我慢汁か彼女の愛液か、粘液の細い糸が、抜いたムスコと陰唇を結ぶ。

「どお?サキュバスに食べられちゃった感想は。」

「これからは、君のために生きるよ。」

「うふふっ、いい子ね♪こんなに出して・・♪」

陰唇を伝って滴り落ちる白濁液。

彼女はベットのかけ布団を掴んで、股間をぬぐった。

「君の愛情、ふきとっちゃった。」

僕に向かって微笑む彼女。

扇情的なその光景に、僕のムスコはまた勃起してくる。

「あん♪休ませてあげようと思ったのに。また入れたくなった?」

「枯れるまで搾って・・」

「いいわ、さ、入れなさい?」

ミーナは股を大きく広げて、指で花びらを広げる。

べとべとになった愛の穴。

呼吸するように、ひくひくしている。

僕は半ば奴隷のように彼女の命令に従う。

濡れた入り口に亀頭を押し当て、一気に挿入。

なかは2人の愛の営みのせいでベトベトになってて、すぐ奥まで挿入できた。

僕は最初から激しく腰を振って、彼女の子宮に射精しようとする。

「満足するまで私の体使っていいわよ。好きなだけ遊んだら、今度は、私を満足させるのよ。」

「はぁい・・」

「ご主人様、っていってごらん?」

「はぁい、ご主人さま・・」

「今日から私のことを、ご主人様って呼ぶのよ。」

「はぁい・・」

「いい子ね、奴隷として、大事に大事にしてあげるからね。」

「ご主人さまぁ・・ご主人様とこども作れるなんて、夢みたいですぅ・・」

「うふん、これから何千人と子供作れるのよ、幸せでしょ?」

「うくっ、はぁ、ぐ、し、幸せ・・」

ぴゅーーっ!!どくっ!!どぴゅっ!!ぴゅっ!!

「ほら、イってるときもしっかり腰を振りなさい。とめられると嫌なのよ。」

「はい、ご主人様っ・・」

こきこき、こきこきと、腰を振る。

僕はご主人様のために、腰を振っては射精し、射精しては腰を振る。

何度も何度も精子を子宮に注いで、僕はいつのまにか、気絶していた。

「ねぇねぇ、あなた。」

僕は頬に触る柔らかい手に起こされた。

「おはよ、あなた。」

ミーナが上から僕を覗き込んでいる。

「おはよう・・って、僕は・・?」

「サキュバスに食べられちゃいました。」

起き上がると、僕はエッチしたベットの上にいた。

ミーナは、バスローブを着ていたが、おなかが変に膨らんでいる。

「すまないな、いつのまにか、眠ってしまったみたいだ。」

「ふふっ、よかったわね、サキュバスに襲われたのに生きてて。」

「精が不味かったんだろ?」

彼女は笑って、おなかを撫でた。

「ねぇ・・?」

「分かってるよ。君のために生きるって、いったろ?」

「ありがとう。私たち、妊娠するのが人間よりずっと早いのよ。」

「産むのも、育つのも早いんだろ?」

「ええ。これから、なれないことばっかりで大変だと思うけど、よろしくね。相談にはのるわ。」

「よくいうぜ、そっちだって旦那もつの初めてだろ?相談に乗るよ。」

「もー馬鹿にして・・」

僕たちはくすくすと笑ってから、抱き合って唇を重ねた。

初夜を無事に過ごした祝福のキスを互いに交わす・・

おなかの赤ちゃんのために、激しいセックスはやめたほうがいいな・・



しまった。

僕は夢から覚めた途端、そう思った。

また、深層心理を逆手に取るような夢で、搾りとられた。

目を開くと、青空が見えた。

ミーナが騎上位で僕に跨っている。

大胆にスカートをめくりあげ股を開いて、濡れた二つ目の花びらをティッシュで拭いている。

「このオナホール、ほんとっ重宝するわねぇ。」

くーーーっ・・

「本物そっくりの挿入感!一回1万円!なーんてね。」

また、ミーナのオナホールで射精させられた・・!

あんなチクワで、僕の精を・・!!

ものすごく空しい。

精液泥棒された気分。

とはいえ・・

自分で抜くより、オナホールで出したほうが遥かに気持ちいいんだけどな。

セックスしてるみたいな気分になれるし。

いかんいかん、思い出すとまたムスコが固くなる。

「うふふ、ずいぶんたくさん出したね。」

「あ、これは、いや、その・・」

「オナホール、そんなに良かった?」

「そりゃ、・・死んでもいいくらい気持ちよかったよ・・」

「また、続きしようね。」

「その・・夜に・・しよっか。」

「うん!!」

ああ、いいのか・・?

こんなこと何度もしてたら、骨の髄までしゃぶり尽くされるぞ・・

でも、またヤりたい・・

あんな気持ちいい体験、くせになっちゃうよ。

ミーナは立ち上がって衣服を整える。

僕も立ち上がって、ベルトを締めると可能な限り平静を装う。

草の上に寝ていたのだ。

僕はぽんぽんと、ズボンを払う。

思いっきりキスしたいけど、我慢する。

すれば第二ラウンドが始まってしまうから。

ミーナの心遣いだろうか、僕たち2人は広場と駐車場を仕切る植え込みの陰にいた。

植え込みの高さは1mくらいで、僕らを両側をはさむように続いている。

恐らく、広場側からも駐車場からも僕らの様子は見えなかったはずだ。

立ったままエッチしたらバレバレだけど。

「えー、こほん。」

わざとらしく咳払いする僕。

「ミーナ様の勝ち!よって、ここの皆にはアオカンしまくってもらいまーす♪」

喜ぶなよ・・

周囲のアベックどもは、最高潮に達しているようだ。

粘液質の音といやらしい声があたりを埋め尽くしている。

「ミナ、本屋にいくぞ。」

「あはっ、ちゃーんと覚えてたのね。」

「そう簡単に忘れないよ。僕は使命感の強い男だからな。」

ミーナはくすっと笑って、僕のそばに寄り添う。

彼女が僕の右手を握ったそのとき。

「皆!目を覚まして!淫魔にだまされてはだめよ!!」

澄んだ声が、あたりの如何わしい空気を引き裂いた。

不思議とその声は、僕の意識をはっきりさせた。

「何!?誰なの!?」

ミーナは慌てて周囲を見渡す。

他の淫魔たちも、相手の男を押しのけて、衣服がはだけたままで立ち上がった。

「あなたたちの好きなようにはさせないわ!このラブリーナイトがいる限り!」

「ラブリーナイト!?」

僕とミーナは同時にその名前を叫んだ。

僕は、澄んだ声の主を3階建ての市役所の最上階に見つけた。

僕はミーナを抱き寄せると、すばやくかがみ込んだ。

植え込みの陰に隠れるようにアオカンしてたのが幸いした。

僕らは完全にラブリーナイトから身を隠した。

体を隠しつつ、植え込みの枝を手で少し広げて、反対側の様子を伺う。

ラブリーナイトはひらりと飛び降りると、僕らのいる広場に降り立った。

噴水のそばに立つ。

「愛と美と正義の戦士!!ラブリーナイト参上!!」

凛とした声で、名乗りをあげる正義の戦士。

相変わらず、橙のミニスカートにセーラー服風レオタードの萌コスチューム。

健康的な発育のいい体。

相変わらずアイドル顔負けの美少女だ。

しかし・・

こいつは敵なのだ。

衣服のはだけた淫魔20数匹が、ラブリーナイト1人を囲んでいる。

「ラブリーナイト!貴様っ、よくも我が妹を・・」

「ラブリーナイト、今日が貴様の命日だっ!!」

口々に気勢をあげる淫魔たち。

まさに、一触即発。

「ここで様子を見よう。」

僕はミーナに耳打ちした。

「うん・・」

「こっちに来なければいいが・・やばくなったらこっそり逃げるぞ。」

「分かった。」

「これから、どうなるんだろう。少なくとも逃げる様子じゃないな。」

「皆、逃げないよ。好きな人を守るため、それから、仲間のために戦うわ。」

僕はぎゅっとミーナを抱いた。

いつのまにか、淫魔たちの手には剣や槍が握られている。

「死ねっ!ラブリーナイト!!」

10人近い淫魔が一斉に斬りかかる。

「ビターラブ・スパイク・ストーム!」

ラブリーナイトが天を指差して叫ぶと、その指先から無数の棘が飛び出した。

淫魔たちの体に、人差し指ほどのスパイクが、次々と突き刺さる。

「ぐわっ!?何だ、体が痺れていく!」

「はぁっ・・動けん・・!!」

うめき声をあげる淫魔たち。

一瞬で勝負はついた。

淫魔たちは芝生やアスファルトの上にうずくまる。

「すぐ、楽にしてあげるからね。」

ラブリーナイトの言葉に、温かみはなかった。

「ひでっち、離して。やっぱりあたしも戦わなきゃ!」

「だめだ、けがなんかしたらどうするんだ。」

僕は彼女の体を強く抱き寄せた。

「皆、殺されちゃうよ!?黙ってみてるわけにはいかないのよ!」

「相手が相手だ、今はやり過ごすんだ。ミナに何かあったら、僕は・・」

「怪我をしたって、仲間を守らなきゃ。」

「怪我で済まないことだってある。」

「あなたが与えてくれた力があるよ。大丈夫。2人分の愛の力がある。」

「相手は、ラブリーナイトなんだぞ。」

「信じて、2人で誓った永遠の愛の力を。」

鼻と鼻が触れ合うほどの距離。

彼女の唱えた魔法の言葉は、僕の恐怖を打ち払う。

「分かった。賭けてみよう。」

「ありがとう。無事で帰ってくるから。見てて。」

僕が手を離すと、彼女は静かに離れた。

見つめ合って僕に微笑む彼女。

胸のペンダントを服の上から握る。

「ラプチャー・ドリーム・テンプテーション!!ドレスアップ!!」

目を閉じたミーナは、己の決意を言葉にして叫んだ。

闇と沈黙が周囲を包む。

目の前にいたはずのミーナの姿も見えない。

数秒してすべての闇が消える。

植え込みの陰で隠れているのは僕だけ。

ミーナはもう、ここにいなかった。

「あ・・あなたは・・!?」

ラブリーナイトの声。

僕は植え込みの枝を退けて、広場を覗き見る。

5メートルほど目の前で、ミーナとラブリーナイトが対峙していた。

「闇を駆ける愛の狩人!淫魔猟兵!」

「淫魔猟兵?初めて会うわね。あなたは私の敵なの・・?」

「そう、敵。」

「残念ね。」

ラブリーナイトは目を細めた。

ミーナは金色の長い髪をなびかせ、左手で鎌を振り上げる。

僕がデザインした戦闘服とはいえ、その美しさはラブリーナイト以上。

こんな子に殺されるなら、本望かもしれない。

ラブリーナイトよりもさらに短いスカートのせいで、いやらしいあんよが丸見えだ。

あんな子を一日何回も抱いてるんだから、幸せものだよな・・

いや、そんなこと考えてる場合じゃない!!

ミーナにあわせるように、ラブリーナイトも剣を構えなおした。

一瞬、2人はにらみ合った。

ミーナは紺色の手袋に包まれた右手を握って、こぶしを突き上げた。

「ソニックスピード!」

「アークへイスト!!」

ミーナが言い終わる前に、ラブリーナイトは叫ぶ。

次の瞬間、僕の目の前から2人が消えた。

あちらこちらで、剣と鎌のぶつかり合う音。

2人がもらす声も聞こえる。

僕の目で認識できない速さで、2人は斬りあっているのだ。

数秒後、先に姿を現したのはラブリーナイトのほうだった。

僕から20m以上離れた場所に立っていた。

上から降ってくる”何か”を見て剣を構えている。

その”何か”も、ラブリーナイトのまん前に着地して姿を現した。

姿を現したミーナは、ラブリーナイトにさらに斬りかかった。

防戦に徹するラブリーナイト。

ミーナの激しい攻撃に、攻めるチャンスを見出せずにいるのだ。

ラブリーナイトは後退を続け、僕のほうへ寄ってくる。

僕の目からは彼女の後ろ姿しか見えないが、その防戦の様子は危なっかしい。

今にも彼女の頬に鎌の刃があたりそうだ。

「くっ、あっ!?」

ミーナの鎌は容赦なくラブリーナイトを襲う。

彼女の苦戦は火を見るより明らかだ。

鎌の先端と刃の反対側にも、それぞれ鋭い棘と刃がついている。

鎌の刃も含めれば3方向からの攻撃が可能なのだ。

「甘い!」

ラブリーナイトの一瞬の隙をついたミーナの攻撃。

鎌の先端のスパイクが、ラブリーナイトの肩を突いた。

「くぅっ・・」

後ろからみた限り、肩を貫通はしていない。

すばやく、鎌を引き抜くミーナ。

たじろぐラブリーナイト。

ミーナは鎌を振り上げた。

万事休す。

『もういい、君の勝ちだ。』

僕は、見てられなくなって淫魔猟兵に語りかける。

『可愛いコが苦しむのは耐えられない?優しいのね。』

痛烈な皮肉が返ってきた。

『このコをここで殺して、何が解決する!?』

『淫魔を殺したり傷つけたりする厄介者が、いなくなるわ。』

『そんなことはない、倒せば倒すほど、新手がでてくるに決まってる。』

『じゃあ聞くわ、ここでこのコを殺して、何か問題があるの?』

『・・・・それは・・・』

「ラブリーナイト、おまえに分かるか、この力の差が。」

ミーナは脅すように言った。

僕の腕の中にいるときの、あのすべてを許すような優しい口調ではない。

まるで別人のようだ。

信じられない。

僕の恋人が、いままさに人殺しをしようとしている!

「こんな淫魔がいるなんて、信じられないわ。」

「信じても信じなくても、おまえは今この場で死ぬんだ。たいした差はない。」

「そう簡単に・・」

「おまえを許す気は全くないよ。おまえは同朋を殺した。その罪は、命をもってあがなってもらう。」

「淫魔を倒さなければ、この世界が、大事な人たちが、皆壊されてしまう!大切なものを守るために、私は戦ってるのよ!あがなうなんて冗談じゃない!」

「大切なものだって?」

「家族や友達、私が育った世界。あなたたちが壊そうとしているものよ!」

「壊そうとしているわけではない。われわれも大事なものを守るために、こうするしかないのだ。」

2人はしばし黙り込んだ。

「では、強いほうが勝つという結果になるな。」

ミーナの口元に冷酷な笑いが浮かんだ。

「ここで死んでもらう。」

「死ぬわけにはいかない!!」

ラブリーナイトは人間離れした跳躍力で飛びのく。

僕の隠れている植え込みと触るか触らないかという距離だ。

今後ろを向かれたら、間違いなく見つかる・・!!

ラブリーナイトの可愛いお尻がアップなのは嬉しいけど・・

っていうか、頼むからこっちを見ないで!

「残念だけど、今回はこうするしかないわね・・」

ラブリーナイトはすばやく呪文を詠唱する。

空から白い光の柱が降りてくる。

すっぽりとラブリーナイトを包むと、光は彼女をつれて消えた。

僕は植え込みから飛び出ると、淫魔猟兵に駆け寄った。

「ミナ・・!」

「あんたがピーピー泣きつくから、取り逃がしてしまったわ。」

違う。

敢えてミーナが逃がしたんだ。

自分の意志で。

その証拠に、彼女の表情には怒りがみえない。

「それは・・悪いことをしたよ。」

「あんたのせいよ。当然、罰を受ける覚悟はできてるわよね?」

「罰って、さっきあんなにしたじゃないか・・」

「今すぐとは言ってないわ。今晩でも、明日でも私は構わない。」

「もう好きにしてくれよ。」

「ウフフフ、あいつの命が助かった分だけ、ひでっちには働いてもらうからね。」

「うん、ところでさ、そろそろ変身解いてもらえないかな・・」

「えっ、そうだね。」

「その格好、ドキドキして辛いよ。」

「あはっ、ときめいちゃう?」

「なんていうか、萌える。」

「燃える?」

「いや、なんでもない、とにかく変身を・・」

スカートは短いし、さりげなく体つきを誇示するコスチュームだし。

変身すると、輪をかけて綺麗に見えるし。

心臓が高鳴って呼吸困難になりそうだ。

ミーナが変身を解いたあと、改めて周囲を見回す。

ひとっこひとりいなくなっていた。

静かに、広場の噴水から水が沸いている。

ミーナは僕に寄り添って、僕の右腕を奪った。

自分のものといわんばかりに、僕の腕をその体に押し付ける。

と、さわやかな秋風が、僕ら2人を包んだ。

そうだ、僕はここに来た理由を思い出した。

「本屋、行っていいかな。」

「うん。こんどこそ、ね。」

そう言う彼女の目は、どこか遠くを眺めていた。

「・・・アイツ、きっとまた出てくるね。」

「ミナのほうが強いから、大丈夫だよ。」

「あはっ、あたしたちの愛の力だもん♪強くて当然よ!」

「搾り尽くされてるからなあ・・」

「ねぇねぇ、あたしのあんよとアイツのあんよ、どっちがよかった?」

あのなぁ・・

戦闘中にそんなとこ見てるほど、僕は色ボケじゃないつうの!

ぶっちゃけ、ちょっとは見てたけど。

「そりゃあ、ミナに決まってるだろ?断然よかったよ!」

「どこがどうよかった?」

「色といい、ふっくら具合といい、思わず触りたくなるよ。」

「ふーん。あたしが命がけで戦ってる間、そんなこと考えてたんだ。」

「え、いや、その・・」

「冗談よ、じょーだん!さ、早く本屋さんいこっ!」

ミーナは、無邪気な笑顔を浮かべて言った。

僕はしばらく歩いて、次第に大きくなっていく不安に気づいた。

どうしたらいいんだ?

次回、あるいはその次にラブリーナイトと遭遇したとき。

僕はミーナに、ラブリーナイトを見逃すように説得できるだろうか。

ミーナさえよければ、僕もよくなってしまうんじゃないか。

世界がどうなってしまうとしても。

心までもミーナの虜になってしまってはいけない。

最後の最後で、ミーナに抗える強さを持ち合わせなければ、世界に未来はない。

肌を重ねれば重ねるほど、深く彼女に隷従してしまう。

奴隷になっていく。

一回、また一回と甘美な誘惑に負けて、白い愛情を注ぎ込む。

そのたびに、理性が削がれていくのだ。

表面を覆う恋人あるいは家族としての関係。

そしてその裏には、人間と淫魔の互いの生存をかけた戦いが展開している。

この表裏一体の2人の関係が、今の僕たちの絆を強固なものにしているのだ。

愛しすぎてしまうから、距離をおかなくちゃない。

距離があるからこそ、もっともっと近くにいきたい。

表と裏がそれぞれ反対側を補強する役目を担っているんだ。

ミーナは好きなだけ、甘えさせてくれる。

でもそれは、罠・・なんだよな?

彼女を求めれば求めるほど、僕は人の道から外れていく。

理性も、人間としての道徳も失っていくんだ。

甘美すぎる快楽と濃厚な愛情を経験する代償に・・。

その日の夕方。

僕は食事もせずに彼女をベットに誘った。

翌朝、空が白むまで彼女を抱いて愛しつづけた。

それでもなお、僕の胸には何か重たいものが残っていた。

きっと、ミーナにも残っていたことだろう。

僕たちは忘れかけてた。

違う生き物であること。

ラブリーナイトは、僕らにそれを思い出させた。

淫魔が栄えれば人類は衰退する。

頭のすみっこに追いやっていた嫌な思考が、どんどん大きくなる。

大きくなれば大きくなるほど、ミーナの心地よい体を求めてしまう。

とっくに精は枯れているのに、乳房をもんだり、深く深くキスを交わしたり。

セックス中毒になったみたいだ。

現実逃避してしまってるのかな。

苦しくて耐えられず、とうとう僕は、ベットの上でミーナに打ち明けた。

そして、僕は今の気持ちを言った。

「何もかも、どうでもよくなってしまいたい。」

「おしまいよ。そうなったらキミじゃない。」

「どうしたらいいか、分からないよ。」

「人間は、悩み苦しんで、成長していく。あたしたちもそう。」

「じゃあ、これは成長の過程なのかな。」

「そうよ。あたしも、あいつだって、悩んでる。あたりまえよ。うまい落としどころを探したいの。」

「それって、見つかるかな。」

「さてね。なるようにしかならないわ。前向きに生きてくしかないわよ。」

「淫魔の言葉とは思えないな。」

「そうでしょ?あのね・・あたし、実は、淫魔じゃないんだ。」

「えっ・・!?」

「あはははっ、じょーだん、冗談だよぉ♪」

そういって茶化す彼女の笑顔を見て、より深く淫魔の手中に落ちていく感じがした。

僕は己の悩みや苦しみを、淫魔に打ち明けてしまうようになったのだ。

悔しいけど、でも何故かすっきりして、救われた感じがした。

そして、彼女が僕の妻になる日もそう遠くない気がした。


<次に進む>

<1>-<2>-<3>-<4>-<5>-<6>-<7>-<8>

ソンム製作所のホームページはこちら